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山沖之彦、武田一浩…打ち込まれながらもセーブ王になった選手は?

 

 今シーズンはDeNAの守護神・山崎康晃が不調に陥っている。開幕から抑えとして登板してきたが、打ち込まれる試合が続き、7月26日現在、防御率はなんと8.74。ただ、リーグトップの6セーブを稼いでおり、もしこのまま打たれながらもセーブを重ねていった場合、まさかの防御率8点台のセーブ王誕生となる。さすがにそんなに甘くないだろうが、実際にセーブ王になった選手の中で「最も防御率が高かった」のは誰なのだろうか?

最も防御率が高いのは……


阪急・山沖之彦


 今回、最多セーブ投手(最優秀救援投手)のタイトルが制定された1974年から2019年までのタイトル受賞者の「受賞年の防御率」を調査。防御率が高い順にトップ5は以下のようになった。

●防御率の高いタイトル受賞者TOP5

第1位 山沖之彦(阪急)防御率4.10/1984年
第2位 武田一浩日本ハム)防御率4.04/1991年
第3位 鈴木孝政中日)防御率3.76/1977年
第4位 ロドニー・ペドラザ(ダイエー)防御率3.65/2001年
第5位 金城基泰(南海)防御率3.63/1980年

 最多セーブ投手(最優秀救援投手)のタイトルを獲得した選手の中で、受賞年の防御率が最も高かったのは阪急の山沖だ。もともと先発投手だったが、抑えの佐藤義則が調子を落としたことで代わりの守護神に指名。抑えでは好投して優勝にも貢献したが、先発時で打ち込まれていたため(先発での防御率は10点台だった)に、防御率が4点台になってしまったのだ。

 山沖に次ぐ高い防御率だったのは1991年のパ・リーグ最優秀救援投手の武田。入団3年目の1990年から抑えを任され、1991年は見事にタイトルを獲得したが、防御率は4点台と高かった。先述のように山沖はシーズン中に先発から抑えに転向しての防御率なので、「抑えに専念した選手」で見た場合は、武田が「最も高い防御率のセーブ王」だといえる。

最も打たれなかったセーブ王は?



 では、反対に「最も防御率が良かった」のは誰なのだろうか? 同じく1974年から2019年までのタイトル受賞者の「受賞年の防御率」を調べたところ、トップ5は以下のようになった。

第1位 佐々木主浩(横浜)防御率0.64/1998年
第2位 豊田清西武)防御率0.78/2002年
第3位 佐々木主浩(横浜)防御率0.90/1997年
第4位 武田久(日本ハム)防御率1.03/2011年
第5位 デニス・サファテソフトバンク)防御率1.09/2017年

 過去最も打たれなかったセーブ王は、1998年の佐々木だ。防御率はなんと0.64。年間を通して1試合に1点失うかどうかというとんでもない数字だ。佐々木は1997年にも0.90という成績を残している。当時は「佐々木が出てきたらもう終わり」と言われたほど。それだけ絶対的な存在だったのだ。

 西武の不動の守護神だった豊田が2002年に残した数字も圧巻の0.78。2年連続セーブ王となった2年間は抜群の安定感だった。3度のセーブ王に輝いた武田久も素晴らしい成績を残しており、特に2011年は出れば必ず抑えるというほど圧倒的な投球だった。

 また、5位のサファテは2017年に防御率1.09を記録しているが、この年に挙げたセーブ数はNPB記録の54。それだけ多くの登板機会がありながらも、ほぼ完ぺきに抑えていたことになる。

 最も防御率の高いセーブ王、最も低いセーブ王を紹介した。両リーグの現状を振り返ると、佐々木の0.64を更新するのは難しいだろう。一方、山崎がこの調子でセーブを重ねれば、「高い防御率」は更新できるかもしれない。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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