一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 張本にはペナルティを?
今回は『1971年11月15日号』。定価は90円。
オリオールズを招いての日米野球真っ只中。
「もう大リーグなんて大したことない」とあぐらをかいたわけではないだろうが、引き分けを挟み4連敗と日本勢が押されていた。
勝敗以上に批判されていたのが、日本野球の長さだ。
オリオールズに比べ、ピッチャーの投球間隔が長く、打席を外す頻度がかなり多い。
当時、日本プロ野球の平均試合時間が10年前の2時間10分に対し、2時間40分となっていたことへの批判もあっただけになお、「大リーグにできて、日本になぜできない」になっていた。
打者の打席外しに関しては、セは長嶋茂雄(巨人)らが左足だけ外す形をしていたが、パはかなり長い。パの記録員・千葉功氏はこう嘆く。
「とくにひどいのは
ロッテの池辺と山崎。とにかくよく外します。それから東映の張本(勲)はよくボールの交換を要求しますが、あれはルール違反(交換を要求できるのは投手だけ)。だが、張本は“ワシのジンクスだから”といってきかない。あれは来シーズンから取り締まるべきです」
実際観客数の減もはっきりしていた。
前年比でセは全体に8パーセントダウン。観客増はセ
ヤクルトの17.9パーセントのみ。最大減は
阪神で32.2パーセントダウンだった。
一方、パは阪急が42.0パーセント増ながら全体では16パーセントダウン。最大は西鉄の39パーセントダウンだが、ほかも近鉄が36パーセント、東映が26パーセントと激減していた。
以前も書いたがセは、オフの日米野球のために過密日程となりダブルヘッダーが増えたこと、巨人の独走でペナントレースがしらけていたことが挙げられる。
ちなみに1位が巨人で236万人だったが、2位のヤクルトは89万人。パで1位の東映は56万人だった。
セとパに加え、巨人と他球団の人気差はすさまじい。
ヤクルトが増えたのは、
三原脩監督人気と、夏場に2位に食い込むなど健闘したことがあった。
さらに当時「週刊朝日」で中高生の人気投票をしたところ、従来なら巨人選手らがずらり並ぶところを長嶋、
王貞治らに混じり、女子プロボウラー、中山律子、あとは男子バレーボール選手などの名前が入ってきたという。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM