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楽天が再び首位に立つために…必要なのはさらなる足を使った攻撃だ

 


 開幕から1カ月の時点で楽天は首位に立っていた。だが、7月21日からのオリックスとの6連戦(楽天生命パーク)では投打がかみ合わず1勝4敗1分という結果で一気に首位陥落。7月30日現在、首位・ソフトバンクに0.5ゲーム差の2位と開幕直後の勢いは影を潜めた。

 理由として4敗のうち3敗がリリーフにつくなど投手陣が踏ん張れなかったことに加え、四番・浅村栄斗の不調が重なったことは大きい。だが、それ以上に悪いチーム状況が走者にも影響したのか、今季の攻撃の武器でもあった足が生かせずに得点力が落ちたことも要因だ。21日からの6連戦での盗塁数は2。25日と26日に1盗塁ずつしたもので、26日の試合には勝利している。盗塁が得点につながるという保証はない。だが、攻撃に勢いを与えるのは確かだろう。

 俊足が自慢の辰己涼介は「自分たちも、相手チームが走塁で乱してくるとかなり嫌なので、走塁の大事さというのはあらためて勉強になっています」と語っており、塁に出れば積極的に次塁を狙う姿勢を見せている。さらに「ベンチで見ていても、足を使える選手が塁に出ると細かい野球で点を取るんじゃないかとワクワクする」と今季のチームについて語っていた。昨季はリーグワーストタイの48盗塁だった楽天の攻撃のスタイルは、それほど変わりつつあったのだ。だが負け込むような状況になると、足が使えなくなる。これはまだまだ改革の途中であることを表しており、そのチーム状況を露呈するような1週間の戦い方だった。

 盗塁は失敗すれば相手に流れを渡しかねないプレーだけに、特に劣勢の場面やチーム状況が悪いときには走りにくいものだ。チーム全体で走塁の意識が高まっているとはいえ、今後は劣勢の状況でも足で空気を変えられるスペシャリストの存在が求められるだろう。スタメンを狙う辰己やルーキーの小深田大翔はもちろんだが、ベンチスタートが多い山崎幹史も、さらに成功率を高め信頼を得る必要はありそうだ。

 昨季までの「走れない楽天」から脱却することが三木肇監督の至上命題。劣勢の状況だからこそ、いかに足を生かした攻撃ができるのか。今こそ楽天改革の真価が問われているのではないかと思う。

文=阿部ちはる 写真=BBM
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