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週べ60周年記念

着々と進む日米トレードと、行きたくなかった高橋重行/週べ回顧1971年編

 

 一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

中村オーナーはラッパ2世?


大洋・高橋重行



 今回は『1971年11月15日号』。定価は90円。

 ロッテ・中村長芳オーナーの世界戦略の続きから入る。

 ローダイ・パイレーツの買収などを発表した後、サンフランシスコ・ジャイアンツとの間で、浜浦徹フランク・ジョンソンの日米トレードを進めていることを明らかにした。
浜浦はプロ入り1年目で一軍登板は1試合のみ、フランク・ジョンソンは内外野どこでも守れ、3Aなら打率3割もと言われていた。
 これだけ聞くと、釣り合うようには思えない。ただ、SFジャイアンツが、かつてのマッシーよ、再びではないが、日本人投手に注目していたことは確からしい(極東担当スカウト、キャピー原田の存在も当然ある)。

 SFジャイアンツは、ほかにも広島、大洋らの若手選手の野球留学を受け入れていたが、10月25日、教育リーグ参加のため渡米した選手の中で、一人浮かない顔をしていたのが大洋の高橋重行だった。
 69年に続く2度目の渡米だが、前回、大洋はSFジャイアンツのロバート・テイラー外野手獲得に動いており、その交換トレード要員として高橋を渡米させていた。いわば“お見合い”か。
 ただ、婚約者が日本にいる高橋は、
「絶対打たれて、破談になって帰りますから」
 ときっぱり。周囲からは、
「打たれようと思って気楽に投げたら、高橋の球が生きてくるからほれられちゃうんじゃないの」
 との声もあった。高橋は65年には21勝を挙げたが、故障もあって近年出番が減っていた。
 人を食ったようなスローボールを時に投げ込む男だった。

 改革が続くロッテネタをもう一つ。
 ファームの合宿が高円寺に完成。木造モルタル2階建てで2人1部屋の6畳の選手室が14だった。
 それ以前は場所だけは高級住宅街ながらボロボロで時に8畳間に6人が生活していた時期もあったというからすごい。
 大沢啓二監督も、
「選手はこれまでよく我慢してくれた。今までは悪い言い方をすれば飯場に、みんな住んでいたのですから」
 とほっとした顔で話していた。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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