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栗原陵矢、涌井秀章、井上晴哉… パ・リーグ6球団「序盤戦MVP」は?

 

福岡ソフトバンクホークス



 開幕スタートに失敗しながらもギリギリのところで踏ん張れたのは、栗原陵矢が文字どおり先頭に立ってチームを引っ張ったからにほかならない。プロ入り初の開幕スタメンをつかむと、延長10回にサヨナラ打を放って今季ヒーロー第1号に。力強い打撃と勝負強さを武器に、5戦目からはリードオフマンへ。「初球からガツガツいく」と積極的な打撃は、不調なチームにおける希望の星となった。若鷹の勢いに徐々にチームも本領を発揮して首位に躍り出るタイミングでは栗原自身が5試合連続無安打と苦しむも、打順が五番になったことで再び快音が聞かれ出した。柳田悠岐中村晃の後ということもあり、より勝負強さが光って、打点は柳田を超えるチームトップの29打点。1試合1試合、常に100パーセントで挑む若鷹は、ますます強く、頼もしく成長している。

東北楽天ゴールデンイーグルス



 金銭トレードによりロッテから楽天に移籍した今季、ここまで6試合に先発して5勝負けなし、防御率2.89。昨季の成績、3勝7敗をすでに上回り、投手陣の中で抜群の安定感を誇っている。7月15日の西武戦(楽天生命パーク)で挙げた白星で開幕4戦4勝。これは西武時代の2007年、ロッテ時代の16年についで3度目で、3度記録したのはプロ野球史上初の快挙となった。5戦5勝を目指した同22日のオリックス戦(同)でも7回途中2失点でリードを保ったまま降板。後続が逆転を許したため勝敗はつかなかったが、その信頼度は揺るがない。則本昂大岸孝之をしのぐエース級の活躍でチームを支えている。

千葉ロッテマリーンズ


ロッテ・井上晴哉


 開幕から打線を支えているのが井上晴哉だ。開幕当初は七番に座り、六番・中村奨吾が演出した好機を得点につなげ、“第二クリーンアップ”として機能。レアードのバットが湿れば、クリーンアップに座り、長打に加えてときに右方向への軽打を放つなど、打線を活性化させている。選球眼の良さも光り、好球必打で好調を維持。7月7日からは五番に座り「僕も大変さは経験しているので」と、四番に定着しつつある高卒3年目の安田尚憲を支え、7月28日の楽天戦(ZOZOマリン)では自身初の1試合3本塁打を放った。今季の得点力を左右するのは、今後も間違いなく背番号44のバットだろう。

埼玉西武ライオンズ


西武・栗山巧


 看板の強力打線の調子がなかなか上がらない中、価値あるバッティングを見せているのが栗山巧だ。今季、19年目を迎えた大ベテランだが、8月3日現在、35試合に出場してチームで唯一の3割超えとなる打率.310、3本塁打、22打点をマーク。持ち前の選球眼も衰え知らずで、出塁率も.409をたたき出している。得点圏打率も.344と勝負強さを発揮。7月10日のロッテ戦(ZOZOマリン)では同点の9回二死満塁から押し出し四球、12日の同カードでは3回に追加点となる3ラン、26日のロッテ戦(メットライフ)では2回に先制打、6回に勝ち越し打を放ってお立ち台に上がるなど、何度もヒーローになっている。精神的支柱でもある栗山のバットがこれからもチームの勝利を呼ぶ。

北海道日本ハムファイターズ



 シーズン開幕から深刻な打撃不振に苦しみ、38試合を終えた時点でチーム打率はパ・リーグワーストの.229。巻き返しのためには打線の奮起が急がれる。その中にあって、出場全試合で四番を担い、自身初となる本塁打王のタイトル獲得のチャンスも十分にある活躍を見せているのが中田翔だ。ここまでリーグトップタイの13本塁打をマークし、打点もすでに38打点。打率は2割台中盤止まりだが、ここぞの場面での印象的な一打で存在感を示している。本人いわく「レベチ(レベルが違う)」と表現する、より確実性を重視した新打法も試合を重ねるごとに手応えをつかんでいる。「タイトルはどうでもいい、とにかくチームが優勝するために打ちたい」と言い続ける不動の四番が逆襲への旗手となる。

オリックス・バファローズ


オリックス・田嶋大樹


 勝ち星こそ1勝止まりも、防御率はリーグ2位の2.62。田嶋大樹が先発ローテとして奮闘している。山岡泰輔山本由伸と先発三本柱として大きな期待を寄せられたプロ3年目左腕は、開幕から7度先発マウンドに上がり、すべて5回以上を投じて自責点3以内と好投。四球を与えながらも、要所を抑えて先発の役割を果たしている。打線の援護なく勝ち星に恵まれてはいないが、山岡が故障離脱する中で安定した投球で山本とともに先発陣をけん引。過去2年は故障に泣き、いまだシーズン完走はないが、背番号29が1年を通して先発ローテを守れれば、先発陣は強固になる。首脳陣の期待に応える投球内容を続けていきたい。

写真=BBM
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