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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

ソフトバンク・板東湧梧は優しくて怖い

 

次は先発での1勝にも期待したい板東


 向かっていく姿勢で、プロ初勝利をつかんだ。8月6日の楽天戦(楽天生命パーク)、3回から2番手で板東湧梧がマウンドに上がった。1イニング目はブラッシュから始まる強力クリーンアップを三者凡退に。2、3イニング目は安打と四球でランナーを背負うも後続を斬り、無失点に抑えた。

 2018年秋のドラフト会議、支配下で指名された投手は4位の板東を含めて5人。チームとして即戦力を欲しており、全員が大卒・社会人出だった。その中で、板東だけが唯一、ルーキーイヤーの昨季、一軍登板がなかった。二軍では21試合に登板して3勝5敗、防御率4.14。この成績も含めて板東自身が一番物足りなさを感じていただろう。

 ちょうどシーズンを終えるタイミングで、板東にインタビューをした。ファームで頑張っている選手を紹介する企画だったのだが、板東は不思議そうに「どうして僕なんですか?」と苦笑いした。課題だらけの投球。特に「『怖さがない』と良く言われます。制球力が武器なのに、厳しいコースをつけない。ランナーが出て気合入れ直したところで打たれることも多くて、そうなると「どうしよう」と思ってしまって。1試合ダメだったときに、次の試合でも悪いほうに意識してしまうんですよね」。

 インタビューの質問に真摯に答える姿勢からも、その人柄が伺えた。マウンドでも気持ち的に優しい部分が出てしまっていたのだろう。プロの選手は甘いボールは見逃してくれない。だからこそ、強い気持ちで向かっていかなければ――。

 2年目、一軍昇格をつかんだ板東は、精神的にも大きく成長していた。プロ初先発した7月30日の西武戦(PayPayドーム)こそ3本塁打を含む7安打で5失点と打ち込まれたが、前述した8月6日、その後の9日の楽天戦も、むしろランナーを出してからのほうがしっかりとコースを突き、狙い球を打たせていった。攻める姿勢からは、板東が求めていた“怖さ”も感じられた。

 入団前から甘いルックスで注目を集めていた板東。枕詞のように「イケメン」と言うフレーズが使われる。しかし、これからはピッチングで評価されることも増え、その注目度はますます上がっていく。

文=菅原梨恵 写真=井沢雄一郎
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