巨人の原監督が8月6日の
阪神戦(甲子園)で11点差のリードをつけられた8回に野手の
増田大輝を登板させた采配が大きな反響を呼んだ。
8回一死からマウンドに上がった増田は先頭の
近本光司を二ゴロ、
江越大賀には四球を与えたが、
大山悠輔を右飛と無失点に抑えた。直球は最速138キロを計測。スライダーの制球も良かった。カブスのダルビッシュが自身のツイッター上で「最高です。大敗しているときは全然ありです」と原監督の采配を支持するとともに、「しかも増田選手、投手の才能あると思います」と称えた。
高校まで「四番・投手」だった選手がプロ野球で野手に専念する選手は少なくない。増田も徳島・小松島高時代はエースとして県下で名の知れた好投手だった。今季は過密日程で救援陣に負担がかかる中、他球団も原監督の采配に追随して野手をマウンドに上げるケースが十分に考えられる。以下の選手たちは高校時代に投手としても評価が高かった。マウンドでどのような投球をするのか興味を抱く読者も多いのではないだろうか。
・今宮健太(ソフトバンク)
球界屈指の強肩を誇るショートストップ。明豊高時代は投手も務め、同校初の甲子園出場を果たした2年春のセンバツでは「一番・投手」で出場した。3年夏の準々決勝・花巻東高戦では最速154キロを計測。プロ入団後も昨年の秋季キャンプでブルペン投球した際に142キロをマークした。
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鈴木誠也(
広島)
外野からの地を這うレーザービームは一見の価値あり。球界1、2を争う強肩を誇る。エンゼルス・
大谷翔平と同学年の鈴木も二松学舎大付高で「二刀流」だった。1年秋からエースを務め、148キロの直球と多彩な変化球が武器だった。高校通算43本塁打の打力が評価され、広島に内野手として入団。昨年は首位打者を獲得するなど球界を代表する強打者にのし上がった。
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中田翔(
日本ハム)
中学3年時に日本代表に選出され、「四番・投手」で直球は141キロを計測。大阪桐蔭高進学後も1年秋からエースとなり、2年には直球が150キロを超え、変化球の精度、フィールディング能力も高いことから打撃だけでなく、投手としても注目度が高かった。その後は右肩を故障した影響もあり、日本ハムに内野手として入団。2度の打点王を獲得するなど主軸として活躍している。
・根尾昂(中日)
中学時代に「飛騨高山ボーイズ」に所属。投手と遊撃手を務め、中学3年時に最速146キロをマークした。大阪桐蔭高では2年春から3年夏まで4季連続で甲子園に出場し、3度の全国制覇を達成。投手と遊撃の二刀流だった根尾は最速150キロの直球とキレ味鋭いスライダーを武器に春のセンバツで史上初の2年連続優勝投手に輝いた。中日では野手として入団。内外野をこなせる守備能力と打撃力に磨きをかけてレギュラー定着を狙う。
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岸潤一郎(
西武)
明徳義塾で甲子園に4度出場し、投手と野手の「二刀流」で計6勝をマーク。最速146キロの直球とカットボール、スライダー、カーブ、フォークなど多彩な変化球で組み立てる投球術は安定感があった。だが、拓大進学後に相次ぐ故障に見舞われて投手を断念。四国アイランドリーグ・徳島で俊足巧打のプレースタイルで活躍し、2020年ドラフト8位で西武に入団した。
写真=BBM