今シーズンも全試合の3分の1を消化。気温も高くなっており、そろそろ過密スケジュールの影響が色濃く出るころだ。こうしたシーズンの厳しい時期を乗り越えるために重要な存在が、勢いのある二軍選手だろう。残念ながら8月4日に一軍昇格した中日・根尾昂は13日に抹消されてしまったが、新戦力が台頭すれば選手起用にも余裕が生まれ、過密日程を乗り切りやすくなる。今回は、今後一軍の助けになるであろう「二軍で活躍する選手」をピックアップしてみた。
記録は8月12日現在 近いうちに一軍昇格の可能性が高い選手もいる!
イースタン・リーグは打撃好調な選手が多くそろっている。まずはリーグ首位打者の楽天・岩見雅紀。2018年ドラフト2位で入団した岩見は、1年目に一軍で12試合に起用されたが結果を残せず、2019年も一軍出場はなし。一軍昇格を目指す今季は、21試合に出場して打率.379と昇格へ猛アピールを続けている。
ロッテの
加藤翔平も二軍でも活躍が目立つ。攻守走3拍子そろった選手だが、特に今季は打撃が好調で、27試合を終えた時点で打率.355と安定したバッティングを披露している。一軍では同ポジションの
福田秀平が打撃不調ということもあり、タイミングが合えば一軍昇格ということも考えられる。
ウエスタン・リーグでは
広島の
宇草孔基が好調だ。2020年ドラフト2位で入団し、今年がプロ1年目。二軍では22試合に出場して打率.295と期待どおりの活躍を見せている。広島は同様に二軍で好成績を残していた
大盛穂が7月末に昇格し、一軍で7打数4安打、打率.571といきなり結果を残しており、宇草にも同様の活躍が期待される。
また、一軍から降格してきた選手の中では、
日本ハムの
王柏融が6試合で14打数11安打、打率.786と大暴れ中。一軍では打率.097と散々だったが、調子が上向けば、一軍でも再び打棒を発揮してくれることだろう。
イースタンの日本ハム・
樋口龍之介も注目の存在だ。2020年育成ドラフト2位で入団した樋口は、プロ1年目となる今季は27試合に出場して打率.365、9本塁打、25打点。一時は打率4割をキープするなど好調で、本塁打と打点はリーグトップだ。
再び一軍マウンドを目指すベテランが躍動
投手は、二軍で三冠だった
ソフトバンクの
大竹耕太郎や
西武の
齊藤大将など、結果を残している若手選手が次々に一軍昇格のチャンスをつかんでいる。これらに続くのが、楽天の
瀧中瞭太。今季は6試合に登板して1勝1敗ながら、防御率1.80と打たせないピッチングが持ち味だ。
一方、再び一軍のマウンドを目指すベテラン投手の中にも、好投を続けている選手が多い。例えば西武の
内海哲也と
十亀剣だ。西武移籍後はまだ一軍登板のない内海だが、今季は二軍で3勝2敗の成績を残しており、8月9日の試合では6回1失点と好投。一軍昇格も近いだろう。今季は二軍調整の続く十亀も、5試合に登板して3勝1敗、防御率2.53。不振にあえぐ一軍投手陣を救うためにも、昇格が期待される。
また、7月4日以降、二軍で調整を続ける中日の
吉見一起も一軍昇格を目指し奮闘している。7月は16日、21日の試合(ともにソフトバンク戦)で好投。8月4日の
オリックス戦では2失点で負け投手となったが、丁寧なピッチングで相手打線を翻弄した。一軍の投手事情はかなり厳しい状況に陥っており、Aクラス入りのためには頼れるベテランの復活は必至だ。
二軍で好調の選手の中からピックアップして紹介した。異例のスケジュールとなった今シーズンは、実績のある選手でもなかなか調子が上がらないケースが多く見られる。二軍でプレーする選手にとっては昇格の絶好のチャンスでもあるので、この機会を逃さないよう猛アピールを続けてもらいたい。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM