今季も約3分の1が終了。各タイトルランキングを見ると、毎年のように名を連ねる選手もいれば、予想外の快進撃を見せる「ダークホース」もいる。今回は、シーズン開始前の予想を大きく超える成績を残している、「タイトル争いのダークホース」をまとめてみた。
※通算成績は2020年8月15日終了時点のもの ダークホースの活躍が目立つセ・リーグ打撃ランキング
セ・リーグの打撃部門では、やはりDeNAの佐野恵太だろう。佐野はその才能が認められながらも、昨季までレギュラーの座をつかめずにいた。しかし、今季は
アレックス・ラミレス監督から新キャプテンに指名され、開幕から四番を任されるという異例の大抜擢を受けた。佐野は監督の期待に応え、50試合を終えて打率.342、9本塁打、34打点と打棒を発揮。パワーもさることながら、高いバットコントロール技術で安打を量産しており、打率と安打数(65本)はリーグトップ。ここまでの活躍を予想できた人は少ないだろう。
広島の
堂林翔太も昨季までの成績からすると、予想外の成績を残している選手だ。初の開幕一軍を迎えた2012年はフル出場を果たしたが、以降は一軍では好成績を残すことができなかった。しかし、今季はオープン戦で4割近い成績を残して開幕スタメンに抜擢されると、7月25日のDeNA戦まで打率4割をキープする活躍を見せた。現在は打率.302まで下がったが、再びの巻き返しに期待したい。
今季プロ5年目の
ヤクルト・
山崎晃大朗も、8月に入って調子は落としているが、期待以上の活躍を見せている。開幕4戦目で五番に抜擢されると、6月は月間打率.375、7月も.329と安定したバッティングでチームに貢献。現在までに44試合に出場して打率.300と、若き大砲・
村上宗隆、生涯打率歴代トップの
青木宣親に次いでチーム3位にランクインしている。
パ・リーグの打撃ランキングでは、
楽天の
ステフェン・ロメロがダークホースといえる存在だ。昨季は故障が続き、思うようなプレーができずに自由契約となった
ロメロだが、楽天に加入した今季は開幕から好調。50試合を終えた時点で打率.321、15本塁打、35打点と好成績を残しており、打率はリーグ6位、本塁打は2位タイだ。7月は一時期成績を落としたが、8月に入ると13試合で6本塁打と再び上昇。17本塁打の
中田翔(
日本ハム)を追い、
柳田悠岐(
ソフトバンク)、
浅村栄斗(楽天)、
山川穂高(
西武)と本塁打2位で並ぶが、抜け出すことができるか。
全試合でQSの平良、復活の涌井……
投手ではDeNAの
平良拳太郎が挙げられる。2017年にFAの人的補償で加入した平良は、2018年は5勝3敗、2019年は5勝6敗と目立った成績を残すことができなかった。しかし、今季はこれまでに9試合に登板して8試合でQS(クオリティ・スタート)を記録。打線の援護がない試合が多く3勝にとどまっているが、防御率は2.57で、開幕7連勝の
巨人・
菅野智之、
阪神・
西勇輝に次いでリーグ3位だ。
ヤクルトの2年目・
清水昇も著しい活躍を見せている。昨季はシーズン途中で一軍昇格を果たすも、11試合で防御率7.27。今季はキャンプから好調を見せたものの、先発ローテーション入りを果たすことができなかった。しかし、中継ぎとして起用されると持ち前の豪快な投球がハマり、これまで23試合に登板してリーグトップの15ホールドを記録。チームに欠かせないセットアッパーに成長した。
パ・リーグの投手では、今季楽天に加入した涌井秀章が自身初の開幕7連勝を記録。7勝0敗、防御率2.38、勝率1.000でリーグ3冠と絶好調だ。昨季まで3年連続で負け越しと悔しいシーズンが続いていたが、新天地で待望の復活を果たした。順調ならば2015年以来の最多勝や、自身初の最優秀防御率のタイトル獲得も夢ではない。
日本ハムの
杉浦稔大もその好調ぶりが目立つ選手だ。ヤクルトから加入後は肩痛の影響で満足にプレーできなかった。しかし、じっくりと焦らずにコンディション調整を行ったことが功を奏し、昨季は14試合に登板して4勝4敗。さらなる飛躍が期待された今季は、6試合で4勝1敗と早くも昨季の勝ち星に並ぶ活躍を見せている。規定投球回に満たないものの、防御率は1.82と涌井をしのぐ数字を残している。シーズンを通して先発ローテーションを守り抜けば、タイトル獲得も見えてくるだろう。
今季、予想外の活躍を見せているダークホースを紹介した。今後、こうしたダークホースがタイトルを獲得することになるのか、それとも実績のある選手が順当に獲得するのか、今後の展開に注目だ。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM