週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

元西武・長田秀一郎、ライオンズカップ2020で中学生のために「全力投球」

 

代表選手と“一打席真剣勝負”を行った長田(球団提供)


 現役引退からすでに約3年の長田秀一郎(現・西武ライオンズアカデミーコーチ)が、7月中旬から今日のために肩を慣らしてきたのには理由がある。本日17日は毎年西武が主催する「ライオンズカップ2020」(協賛:Honda Cars 埼玉)当日。例年であればトーナメント方式で優勝チームが決まるが、今年は新型コロナウイルス感染拡大のため、出場チームを埼玉県内のチームに絞り、各チーム1試合限定で行われることになった。その中で、「何とか子どもたちに“今日という日”を思い出に残してもらえないか?」と主催団体が話し合い、西武ライオンズアカデミーコーチと参加チームの代表選手よる“一打席真剣勝負”が実現することになったのだ。

 この大会には、リトルシニア、ポニー、ヤング、ボーイズの4団体の代表12チームが参加。毎日、白球を追いかける中学生相手に登板することになった長田は「変化球を混ぜないと抑えられないですから(笑)」と得意のスライダーをここに解禁することを予告していた。

 長田が戦ったのは、計6チームの代表選手。本人曰く直球の最速は「130キロに届かないくらい」で、スライダーやカーブを交えた。左安打、右中間三塁打、中安打、三振、三振、左安打だと見事に打ち返され「(みんな)いいスイングができていた」と脱帽したが、会場は大いに盛り上がった

 生みの苦しみのライオンズカップだった。

 日程上、メットライフドームを使用できるのはこの1日だけ。当初は参加チームの選手を集め、その選手たちで2チームを構成する“オールスター形式”も検討した。ただ、「これまで頑張ってきた“チーム”として、いい思い出を残してほしい」という意図で、各チーム1試合限定、4イニングス制で実施することが決定。さらには“最後の夏”を楽しんでもらうため各チームには「極力3年生中心のスタメンを組んでいただきたい」という“異例”のお願いをした。

 そんなライオンズカップの大きな特徴は“出場チームの選定”にある。各地区を勝ち抜いてきたチームが出場するわけではなく、その選考基準の1つに「地域貢献活動を率先して行っている」とあるのだ。そして、多くのチームにプロのスタジアムでプレーしてもらいたい、という思いから2年連続で同一チームが選ばれることはない。今日は241人の選手たちが、これまでのチームメートとともに過ごした時間をかみしめるようにメットライフドームを走り回っていた。

「今後も野球を楽しく長く続けてほしいですし、参加する選手の中からライオンズで活躍する選手が出ることを願っています」とライオンズカップの模様を見つめ、目を細めた長田。たった1打席、たった1回限りの出番だった選手もいた。ただ、その一瞬がこれからも野球を好きでい続け、この先もグラウンドに立ってくれるきっかけとなれば、長田にとってもこれほどうれしいことはない。

西武ライオンズ
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング