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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

なぜ、東海大相模は神奈川で“4季連続優勝”を遂げられたのか?

 

東海大相模は神奈川県高野連が主催した独自大会で優勝。甲子園での悔しさを晴らした


 全国の加盟校の中でも、最も過酷な日程を消化し、なおかつ、最後に結果を残したのだから立派だ。なぜ、ハードスケジュールを克服することができたか?

 東海大相模は8月23日、神奈川県高野連主催の独自大会決勝(対相洋)を制した。昨年春から夏、秋、そして春の中止を挟んで、今夏の県大会で“4季連続優勝”を遂げた。

 8月15日に県大会5回戦(対相模原弥栄)、中1日の17日には甲子園交流試合で大阪桐蔭と対戦した。「東西横綱対決」と言われた一戦を、2対4の逆転負けで落としている。

 東海大相模は1点を追う7回表に2点を挙げて勝ち越しながら、その裏に追い付かれ、8回裏に2点を奪われるという、何とも悔しい幕切れだった。

 8回に決勝2点タイムリーを放った大阪桐蔭の主将・薮井駿之裕が勝因を「粘り」と話せば、東海大相模の主将・山村崇嘉は敗因を「執念の差」と無念を語った。

 今回の招待32校のうち、花咲徳栄(埼玉)と東海大相模は、独自大会期間中に甲子園交流試合を戦った。花咲徳栄は大分商との開幕試合(8月10日)を制した後、東部地区大会で3試合(13、14、15日)を勝ち上がったが、同準決勝(17日)で敗退している。

 東海大相模の場合は甲子園で負けても、次があった。これまでの高校野球からすれば、かつてない展開であり、不動の一番・鵜沼魁斗は「(準々決勝から決勝までの)あと3試合、しっかり勝ち切りたい」と、県大会での有終の美を固く誓っていた。

 試合は待ってくれない。東海大相模は甲子園から中1日の19日の準々決勝(対平塚学園)、22日の準決勝(対三浦学苑)を勝ち上がり、23日の相洋との決勝は3点を追う8回表に一気に4得点で逆転(6対5)。9回にも3点を追加して、最高の形で今夏を完結させた(9対5)。甲子園で大阪桐蔭から学んだ「執念」を、すぐさま地元・神奈川で体現したのだ。

 神奈川大会→甲子園交流試合→神奈川大会。

 過去にない日程をこなしたが、悔しさを糧にしてきた東海大相模の学習能力、さらには精神的なタフさ。常日頃からの門馬敬治監督の指導力にほかならない。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、同校野球部は3月20日以降からの活動自粛が長引き、練習再開は6月中旬だった。さまざまな制限があり、短い準備期間ではあったが、しっかりと夏に照準を合わせ、前評判どおりの実力を示した。

 神奈川大会決勝。全国47都道府県49地区で開催された独自大会のラストを飾るにふさわしい、好ゲームだった。これで全国の3年生部員が引退。進学準備、大学入試、就職活動……。激動だった2020年夏に「感謝」を込め、球児たちは次のステップへと一歩を踏み出す。

文=岡本朋祐 写真=橋田ダワー
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