シーズン中に取得予定のFA権を巡り、今オフは去就が注目される目玉選手が多い。
ヤクルト・
山田哲人、
小川泰弘、
中日・
大野雄大、
西武・
増田達至、メジャー移籍を希望している
日本ハム・
西川遥輝……。山田は前人未到のトリプルスリー3度と球界を代表する選手に上り詰め、まだ28歳と若い。2015年以来2ケタ勝利から遠ざかっていた小川は8月15日の
DeNA戦(横浜)でノーヒットノーランを記録するなど今季6勝をマーク。大野も4試合連続完投勝利を飾るなど絶好調で他球団の評価が高まっている。守護神の増田も昨季4勝30セーブ、防御率1.81でリーグ連覇に貢献。今季も防御率1点台と安定した投球を続けている。各球団の守護神が不調で苦しんでいるため、増田の価値がさらに上がっている。
その中で、「ダークホース」として争奪戦の可能性があるのがロッテ・松永昂大だ。左腕のセットアッパーとして新人の13年から7年連続40試合以上登板。救援陣に不可欠な存在として屋台骨を支えてきた。今月8日に国内FA権を取得。今年は5試合の登板にとどまり、10日に登録抹消されて以来ファームでも登板していないが、万全の状態なら間違いなく貴重な戦力になる。他球団の編成担当は「松永は対戦が多いパ・リーグだけでなく、セ・リーグの球団も間違いなく調査しているでしょう。左のセットアッパーは貴重な存在なので今オフは争奪戦も考えられます」と分析する。
懸念されるのが、ルール改正だ。プロ・アマ合同の野球規制委員会は今季終了後に「ワンポイントリリーフの禁止」について検討する意向を表明している。松永の昨季の被打率は左打者を.113と抑え込んでいるのに対し、右打者は.333と打ち込まれている。だが、前出の他球団の編成担当は規則が改正されても松永の市場価値は下がらないと断言する。
「
楽天から
巨人にトレード移籍して大活躍している
高梨雄平のケースが好例です。左サイドの高梨は右打者を苦にしていませんでしたが、左打者専門のワンポイントの形で起用されてきました。制球があまり良くないこともあり、1イニングを投げ切るのは厳しいと判断されたのでしょう。今年の楽天では登板機会がなかったですが、巨人に移籍後は1イニングを任されて右打者も抑え込んでいます。松永も1イニングを任せられたらきっちり対応して抑えられる投手です」。ロッテも今オフは全力で慰留するだろう。縁の下の力持ちとして不可欠な左腕。その動向が注目される。
写真=BBM