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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

西川龍馬、石原慶幸が登録抹消の広島。9月前半が胸突き八丁に!?

 

野間が持てる力を発揮できるか


2018年の優勝時にはレギュラーを手にしていた野間。ここが力の出しどころだ


 8月21〜23日に本拠地・マツダ広島で首位・巨人をスイープ、26日には最下位からも脱出し、ようやく少し成績が上向いてきたようにも見える広島。しかし、チームの状況をよく見ると、ここへきて、むしろ楽観はできない状況が表れてきているように思う。

 それは、ここまである程度順調に来ていた主力野手に、故障者が出始めたことだ。8月26日にそこまで打率.318をマークして打線を引っ張っていた西川龍馬がコンディション不良で一軍登録抹消、続いてベテランの石原慶幸も8月27日のDeNA戦(横浜)で走塁中に左足太もも裏を痛めて一軍登録抹消、さらには、登録抹消にはなっていないが、扇の要の會澤翼も、コンディション不良があったとのことで、27日にはベンチを外れるなど、出場の機会を減らしている。

 まず西川だが、一番や三番を担い、ラインアップの中では鈴木誠也に次いで期待のできる打者だけに、これはもう単純に打線の得点能力の上で大きな痛手だ。おそらく、長野久義に加え、このところスタメンを外れることの多かったピレラ野間峻祥の3人でレフトとセンターをやりくりすることになるだろうが、一番または三番という、打線の重要ポイントに空いた穴を埋められるかどうか。一番・長野と三番・堂林翔太、あるいは一番・野間と三番・長野か堂林、という形で戦うことになるが、「夏男」のベテラン・長野が秋も今までの調子で打ち続けることができるか。そして、シーズン前半はほとんど活躍できなかった野間がここで持てる力を発揮することができるかが、大きなポイントになってきそうだ。

 石原慶の故障は、第4捕手の故障なので、一見、大きな影響はないように見えるかもしれないが、戦術面を考えると痛い。以前にもこのコラムで書いたとおり、「捕手4人制」はカープのベンチワークにとって生命線の一つだからだ。西川の登録抹消で外野手が1人スタメンに取られることにより、カープが代打として切れるカードは捕手の比重がさらに高くなった。坂倉将吾と會澤でスタメンに出ていない選手が最大の切り札で、さらに磯村嘉孝も代打としての計算に入ってくることになるだろう。石原慶が故障したからと言って、捕手を3人にしてしまっては、これらのカードが勝負どころで切りづらくなってしまう。チームが石原慶との入れ替えでベテランの白濱裕太を上げて捕手4人制を維持したのは戦略的には当然であり、うなずけるところだ。

9月1日からは13連戦


 こう考えてくると、もしも會澤のコンディションが戻るのに時間がかかった場合、広島は西川の復帰まで、勝負どころで切れる代打のカードがゼロに近いような状態で戦うことになる可能性もある。9月1日からは13連戦が待つが、今までのように選手を休ませながら使う余裕はちょっとなくなるだろう。つまり、ほぼその間、レギュラーで出ている選手が踏ん張り続けなければならない、ということだ。攻撃の駒をいくつか欠いた状態の中で迎えるこの連戦は、現状の首位との差を考えても、カープの今季の成否を握る、まさに胸突き八丁となる可能性は高い。

 幸い、投手陣は課題だったセットアップとクローザーがここにきて固まり、先発陣も早い回でKOされる投手はあまり出ない状態にはなってきた。打線も坂倉、堂林が好調を維持し、何とか形を保っている。現状、打線の得点能力はあまり高いとは言えないが、投手陣の踏ん張りがあれば、勝てる形が見えないわけではない。果たしてカープは13連戦をどう戦い、9月13日時点でどの位置につけているのか。ここからしばらくが、勝負だ。

文=藤本泰祐 写真=BBM
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