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涌井秀章、小川泰弘、堂林翔太…今季、復活を遂げた選手

 

 今シーズン、特筆すべき活躍を見せているのが楽天涌井秀章だ。ここ数シーズンは思うような活躍ができなかったが、楽天加入1年目の今年は開幕から8連勝を記録。残念ながら開幕9連勝とはならなかったが、完全復活といってもいい投球を見せている。今回は、涌井のように「今季復活を遂げた選手」をピックアップして紹介する。

完全復活といえる活躍を見せている3選手


楽天・涌井秀章


 まず冒頭でも紹介した楽天の涌井だが、ロッテ時代は2015年に最多勝に輝いたものの、そこから成績は右肩下がり。2017年からは3年連続で負け越していた。しかし、活躍の場を楽天に移した今季はここまで8勝1敗、防御率2.25とリーグトップレベルの成績を残している。8月5日のソフトバンク戦(楽天生命パーク)では、9回一死まで無安打無得点ピッチングを披露。惜しくもノーヒットノーランは逃したが、今後もまだまだ勝ち星を伸ばしてくれそうだ。

 ノーヒットノーランといえば、8月15日のDeNA戦(横浜)で史上82人目となるノーヒットノーランを達成したヤクルト小川泰弘だ。今シーズンはここまで10試合に登板して6勝2敗、防御率3.34と上々の結果を残している。プロ1年目の2013年に最多勝と新人王を受賞した小川だが、その後は1年目のような投球ができず、ここ4シーズンは2ケタ勝利からも遠ざかっていた。しかし、今季はノーヒットノーランを達成したように好投を続けており、久しぶりのタイトル獲得も期待できる。

 ヤクルトでは、抑えの石山泰稚が今季素晴らしいピッチングを見せている。プロ1年目の2013年にいきなり10セーブ21ホールドと活躍した石山だったが、その後は低迷。それでも2017年に24ホールドと中継ぎで好投し、翌2018年は抑えとしてリーグ2位の35セーブを記録した。しかし、2019年は再び不調に陥り、登録抹消を3度経験することになった。迎えた今シーズンは2020年8月29日時点でリーグ2位の9セーブと好調。チームの調子が上向けば、最多セーブのタイトルも狙えるだろう。


 広島の堂林翔太は、今季前半のセ・リーグで最も大きな注目を集めた選手だといえる。プロ3年目の2012年に開幕一軍を勝ち取った堂林は、その年にいきなり全試合フル出場を果たし、さらなる飛躍を予感させた。しかし、以降は骨折などの影響で離脱を繰り返すなど低迷。昨年まで満足に出場機会が得られない状況が続いた。ところが、今季はオープン戦から好調で開幕一軍を勝ち取ると、開幕から驚異の打棒を発揮。7月下旬までなんと打率4割をキープし続けた。現在は打率.316(2020年8月29日時点)と下降したが、本塁打も12本でリーグ5位と打撃自体は好調。自身初のタイトル獲得を目指し奮起してもらいたい。

復活の兆しを見せている藤浪、内海



 完全復活とはまだ言い切れないが、その兆しを見せているのが阪神の藤浪晋太郎だ。プロ1年目の2013年から3シーズン連続で2ケタ勝利を挙げ、阪神の将来を担う存在と期待されていた。しかし、2016年に不調に陥ると、そこから思うようなピッチングができなくなり、2019年にはついに一軍未勝利に終わった。復活を期した今季は、新型コロナ感染などアクシデントはあったが、8月21日のヤクルト戦(神宮)でついに692日ぶりの勝利を記録。かつての投球を取り戻してくれれば、阪神としても心強い。

 久しぶりの一軍マウンドで好投を見せたのが西武のベテラン・内海哲也だ。2018年オフにFAの人的補償で巨人から加入した内海だが、2019年はケガの影響で一軍登板はなし。今季も二軍で調整が続けられていたが、好投を見せたことから移籍2年目にしてついに一軍に昇格。8月22日のオリックス戦(京セラドーム)で移籍後初先発を任された。結果は6回4失点だったが、本塁打を除けば打たれたヒットは1本のみ。久しぶりの一軍マウンドとしては上々だった。今季も西武は投手陣が不調のため、内海には是が非でも完全復活してもらいたい。

 楽天の涌井やヤクルトの小川など、今季復活を遂げた選手を紹介した。「少し難しいのでは」と厳しい評価を受けた選手が、その評価を大きく覆す活躍を見せるのは非常に痛快なもの。今季はまだ半分残っているため、他にもあっと驚くような復活を果たす選手が出てくる可能性は十分にある。果たしてそれは誰になるのか、今後の展開に注目したい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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