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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

オンライン取材で見えた青木宣親の優しさと機転

 

オンライン取材に応じる青木宣親


 ヤクルト担当1年目の私が触れた、青木宣親選手の優しさについて書きたい。現在発売している『週刊ベースボール』9月7日号は、「グラブ特集」。私は、外野手代表として青木選手に話を聞くことになった。

 新型コロナウイルスの影響で、ヤクルトの今年度のインタビュー取材は、ほとんど球団広報さんを通じての電話取材に限られている。だが今回はグラブを見せていただきながら話を聞くということで、「Zoom」を使ったオンライン取材にしてもらった。

 社内でオンライン取材をするには周囲に気を使うので、リモートワークに切り替え、自宅で取材を行うことにした。しかし、これがまずかった。

 いざ青木選手と話を始めても、ところどころで音声が途切れるのだ。私の声は青木選手に届いても、相手の声は私に届かない。パソコンの画面には「ネットワークの状態が不安定です」といったメッセージが表示される。いや、さっきまでピンピンしてたじゃん! ていうか、家に有線LANってあったっけ? これって、どうやれば解決するんだっけ? 慌てふためく私に、青木選手は優しく「大丈夫?」と声を掛けてくれた(ここは聞き取れた)。しかし「世界の青木」にいらぬ気を使わせてしまい、申し訳なさと恥ずかしさで半泣きになる私……。

 途切れ途切れの音声の中でも、取材は進行していくが、パソコンのネットワークはさらに弱まっていく。 ほとんど音声が聞き取れなくなり、もうどうにもできなくなったとき、青木選手は言った。「電話! 電話に切り替えましょう!」。映像はパソコンの画面上で、音声は電話での取材に切り替えてもらうことに。こうした青木選手の機転のおかげで、インタビューは無事に終了した。あまりの申し訳なさに叫びだしたくなるような気持ちを抑えつつ、私はすぐに有線LANケーブルを通販で購入した。

 プロ野球選手として長く活躍し続ける青木選手。プレーだけでなく、突然のトラブルへの対処や周囲への気遣いも一流なのだと、あらためて感じられた取材だった。

 そして今は選手と直接会って話すことは叶わないが、この一件を忘れられないうちに、青木選手に直接頭を下げたいと思う毎日なのである……。

文=依田真衣子 写真=ヤクルト球団
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