週刊ベースボールONLINE

川口和久WEBコラム

高橋由伸監督時代の遺産が覚醒した?/川口和久WEBコラム

 

したたかさ感じたライトゴロ


二番に定着している松原


 快調に首位を独走する巨人だが、サプライズとして「二番・ライト」でスタメンに定着しつつある松原聖弥の活躍がある。

 2017年育成5位の入団で、アマ時代はほぼ無名だったが、高橋由伸前監督のラストイヤー、18年に春季キャンプで一軍に抜てきされた。
 攻守走のセンスを評価されてだったが、このときは、まだ一軍のピッチャーのパワー、スピードに歯が立たず、時間がかかると判断され、ファーム落ちとなった。ただ、ファームで実績を積み、途中支配下になっているから、由伸監督としては、翌年の秘密兵器と考えていたのだろう。
 いわば由伸監督が拾い上げた原石だね。
 岡本和真の四番抜てきもそうだが、由伸の野手のポテンシャルを見る目の確かさを、原辰徳監督になってあらためて感じる。

 もちろん、原監督の手腕と腹の据わり方もある。監督が代わると、前の監督がしたことを180度変えるケースもあるが、由伸時代のいいところはそのまま継続している。

 由伸に関しては、自分が後を託したこともあるから気配りも、と思うかもしれないが、そんなに甘い人じゃない。変えるところはズバッと変えながらやっている。
 余裕というのかな。由伸、こんなやり方もあるぞ、と言っているような雰囲気もある。彼がいつか現場に戻るときに向け、いい勉強になっているんじゃないかな。

 松原については以前見たとき、攻守走の三拍子はそろっているが、もうちょっとパワーがほしいな、と思っていた。体も大きくないし、足を生かしてゴロが多いのは仕方ないが、それだけでは投手になめられる。
 でも、この間、東京ドームでレジェンド解説をした8月28日の中日戦でセンターオーバーの打球があったが、振りが鋭く、パワーもついてきたなと思った。
 あとは巨人の選手にあまりない、したたかさもいいね。ヤクルト戦ではライトゴロもマークしたが、事前に一塁手にも「狙う」と言っていたという。とても一軍1年目の若手選手とは思えない。心臓は“元木級”なのかな。
 ただ、原監督は実力至上主義。最後まで出続けられるかどうかは、これからの彼次第になる。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング