一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 東の横綱は江藤慎一
今回は『1972年1月3.10日合併号』。定価は120円。
正月号なので、呑気な話題からいこう。
球界酒豪ランキングがあった。
東の横綱は
ロッテから大洋に移籍した
江藤慎一。日本酒党で、酒量は一晩に一升瓶2本はいける。酔うと黒田節を歌う明るい酒だった。
西の横綱は東映の
張本勲。こちらはウイスキー派で角瓶1本は軽い。近鉄・
永淵洋三と首位打者争いをしていたときは、飲み屋で顔見知りの新聞記者と偶然会い、すでにかなり酔っぱらった状態ながら、自身と永淵の打率をすらすら計算し(当たり前だが、スマホもない時代。紙に鉛筆で書いて計算)驚かれたが、タクシーの運転手相手の暴力沙汰もあり、酔っても冷静というわけではない。
飲んでも崩れないのは、東の大関・巨人の
王貞治だ。王もウイスキー派で、金払いがよく、独身時代は銀座のホステスにモテモテだった。横浜で大酒を飲み、その後、山下公園で2時間仮眠してから車を運転し、帰ったという話がふつうに載っていたが、これは……。
西の大関は
阪神・
遠井吾郎。この人はハシゴ酒で知られた。若手選手は言う。
「遠井さんと一緒に飲むのは大変。30分で8軒もハシゴをするんだから」
30分で8軒となると、1軒4分に足りない。遠井はどかんとカウンターに座るとハイボールを頼み、それを飲むとハイ、サヨナラで次の店に向かったらしい。
要は、人の好さもあり、なじみの店にはすべて顔を出したいということだろう。
ただ、30分で終わるわけではない。これは、単なるごあいさつ。時には夕方6時から朝方3時まで飲んだこともあった。このときは16軒を回り、ハイボールに加え、ビールを36本飲んだらしい。
結婚し、子どもも生まれて落ち着き、ハシゴも5軒くらい、ビールも15本くらいに抑えているという。
さすが。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM