プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は2007年9月6日だ。
この日、行われたのは優勝を争う宿敵・
中日との敵地・ナゴヤドームでの一戦だった。1対1で迎えた延長12回表、巨人の攻撃。中日ベンチは二死二塁から
小笠原道大、
阿部慎之助を敬遠気味に歩かせた。次打者は投手の
上原浩治。巨人ベンチにほとんど代打が残っていないことを見透かした“落合さい配”だった。
残っていない……いや残っていた。巨人は上原に代えてルーキーの坂本勇人を打席に送った。この年、光星学院高から高校生ドラフト1巡目で入団した背番号61。3球団が競合した愛工大名電高・
堂上直倫の“外れ1位”だった。
坂本は
高橋聡文から詰まりながらもセンター前へのしぶとくポテンヒット。2者がかえって巨人は3対1と勝ち越し、そのまま勝利した。坂本のプロ初安打が決勝打となった。お立ち台にも上がった坂本は「気持ちで思い切っていきました」と笑顔を見せたが後年、「1年目から一軍出場、ヒット、打点、盗塁まで記録できたのは正直出来過ぎ。でも、この一軍での経験が、2年目以降に生きているのは確かですね」と語っている。
今季は2000安打達成に突き進んでいるが、これが坂本の“初めの一歩”だった。
写真=BBM