プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は2002年9月7日だ。
この日、行われた巨人対
広島戦(東京ドーム)。広島先発の
黒田博樹の前に巨人の四番・松井秀喜は初回の第1打席で二ゴロに倒れていた。しかし、4回裏の第2打席、見事な打撃で黒田を打ち砕いた。2ボール2ストライクからの5球目、内角高め144キロ直球をフルスイング。「追い込まれていたし、ストライクゾーンに来たら振っていくつもりだった」と松井は言ったが、追い込まれた感じはほとんどせず、ほかのバッターなら振っていくのはとても難しいコースだった。打ったとしても凡飛か邪飛だろう。
松井はそれをいとも簡単にホームランにしてしまった。「うまく腕をたたんで打てた」と言ったが、このたたむことで距離を作る技術は簡単にできるものではない。
「黒田は同い年で素晴らしい投手。その黒田から節目(自己タイの42号)のホームランを打てたのを自信にしたい」と松井。その言葉どおり、松井はそのあとの2打席を連続見逃し三振に斬って取られた。特に8回裏の第4打席はお互いに全力を振り絞っての勝負。11球目のフォークを松井が見逃して終わったが、これぞプロの勝負だった。
「三振して気持ちのいいヤツはいない。でも、いい勝負だったね」と松井も納得の表情を浮かべた。
結局試合は4対3で広島が逃げ切り。黒田は完投で9勝目を飾った。
写真=BBM