8月31日に
ソフトバンクが
渡邉雄大の支配下選手への移行を発表した。ソフトバンクの育成選手が昇格するのは今シーズン3人目だが、ソフトバンク以上の人数を昇格しているのが
巨人。今シーズンはなんと4人が育成から支配下に昇格している。では、現在の支配下登録選手で「最も育成出身選手が多いチーム」はどこなのだろうか?
各チームでバラつきが……
2020年9月9日時点での支配下登録選手を調べたところ、育成出身選手がチームは多い順に以下のとおり。
※育成から昇格し、その後他チームに移籍した選手も含む ●ソフトバンク……13人
千賀滉大、
二保旭、
牧原大成、
甲斐拓也、
釜元豪、
石川柊太、
モイネロ、
大竹耕太郎、
川原弘之、
周東佑京、
尾形崇斗、
砂川リチャード、渡邉雄大
●巨人……11人
増田大輝、
田中貴也、
松原聖弥、メルセデス、
加藤脩平、
山下航汰、
堀岡隼人、
モタ、
ディプラン、
沼田翔平、
田中豊樹 ●
中日……9人
三ツ間卓也、
木下雄介、
R.マルティネス、
福敬登、
渡辺勝、
濱田達郎、
シエラ、
A.マルティネス、
ロドリゲス ●
ヤクルト……8人
山田大樹、
近藤一樹、
平井諒、
今野龍太、
田川賢吾、
大村孟、
長谷川宙輝、
松本友 ●
オリックス……8人
飯田優也、
山田修義、
榊原翼、
佐野皓大、
張奕、
神戸文也、
本田仁海、
漆原大晟 ●
ロッテ……6人
西野勇士、
柿沼友哉、
茶谷健太、
和田康士朗、
フローレス、
大嶺祐太 ●
楽天……6人
宋家豪、
久保裕也、
石橋良太、
寺岡寛治、
フェルナンド、
下妻貴寛 ●
DeNA……5人
国吉佑樹、
砂田毅樹、
笠井崇正、
古村徹、
中川虎大 ●
広島……5人
メヒア、
フランスア、
曽根海成、
モンティージャ、
大盛穂 ●
西武……5人
水口大地、
戸川大輔、
高木渉、
齊藤誠人、
與座海人 ●
阪神……4人
伊藤和雄、
島本浩也、
原口文仁、
片山雄哉 ●
日本ハム……1人
高濱祐仁 ソフトバンク・千賀滉大
支配下に育成出身選手が最も多いのはソフトバンクで13人。千賀や甲斐以外にも、石川、釜元、周東と活躍している選手が多くおり、ソフトバンクのスカウト力、育成力の高さがうかがえる。
次に多いのが11人の巨人だ。過去には
山口鉄也、
松本哲也と2人の育成出身新人王を輩出しており、現支配下選手にもチームを支える選手が何人もいる。かつては「育成が下手」と揶揄された巨人だが、今やNPB屈指の育成力を持つチームだ。
育成出身が9人の中日は、外国人が4人と12球団最多だ。特にR.マルティネスは現在リーグ屈指のクローザーとして君臨。今季昇格したA.マルティネス(現在負傷で離脱中)、ロドリゲスも好成績を残しており、「当たり」が続いている。
ヤクルトとオリックスが8人で並ぶ。ヤクルトは17年目で最優秀中継ぎのタイトルを獲得した近藤が育成出身。2002年ドラフト7巡目で近鉄入団。オリックスとの球団合併による分配ドラフトで2005年オリックスへ移籍したが、2014年オフに育成で再契約となり、翌2015年に再び支配下を勝ち取っている。オリックスも、快足を武器に活躍している佐野が、近藤と同様に一度支配下契約を解除となった後に、再び支配登録を勝ち取った選手だ。
ロッテ・和田康士朗
ロッテ、楽天は育成出身者がともに6人となっている。ロッテは現在売り出し中の和田が育成出身。現在リーグ最多盗塁を記録しており、タイトル受賞となればロッテの育成選手で初となる。楽天は、支配下契約で入団した後に育成契約となり、その後再び支配登録という流れを経験した選手が6人中5人。これは12球団最多だ。
DeNA、広島、西武の3チームが5人で横並び。この中で注目なのがDeNAの古村だ。DeNAに支配下契約で入団した後に育成選手で再契約するも、昇格できず戦力外に。その後、打撃投手を経て独立リーグで現役復帰。2018年オフにDeNAの入団テストをパスして支配下契約を勝ち取った、異色の経歴の持ち主だ。
阪神は、昨季63試合登板のセットアッパー・島本や、大腸ガンから奇跡の復活を果たした原口などが育成(育成としての再契約)からの昇格経験を持つ選手だが、計4人と12球団で2番目に少ない。
12球団で最も少ないのは日本ハムでなんと1人。そもそも日本ハムは2018年ドラフトまで育成選手を一人も獲得していないチーム。現在支配下にいる高濱も、支配下契約を解除となった後に育成選手となり、再び昇格を果たした選手。育成ドラフトで獲得した選手の昇格はまだ一度もないのだ。
育成出身選手が最多のソフトバンクは、現在パ・リーグの首位を快走中。レギュラーに故障離脱者が多い年でも新戦力が次々に台頭する「層の厚さ」は、チーム最大の特徴であり、強みだといえる。今年は新型コロナウイルスの影響で、新規支配下登録期限が9月30日まで延長されているため、今後も新たに昇格する選手が出てくるはず。どんな選手が支配下を勝ち取り、一軍の試合でどのような活躍を見せてくれるのか、楽しみに待ちたい。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM