週刊ベースボールONLINE

週べ60周年記念

ローダイ・オリオンズの勝算はいかに/週べ回顧1972年編

 

 一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

大荒れの契約更改


話題豊富だった72年のロッテだが。左から成田文男、大沢監督


 今回は『1972年1月24日号』。定価は90円。
 
 1971年12月24日、会見を開き、米マイナー・リーグの「ローダイ・パイレーツ」買収を発表したロッテの中村長芳オーナー。72年から球団名を「ローダイ・オリオンズ」にし、青木一三がGMになることが発表された。
 選手はオリオールズから21人を受け入れ(人件費はオリオールズ持ち)、監督もオリオールズから出す。ロッテからは3選手を派遣の予定だった。
 ローダイは1Aのカリフォルニア・リーグに参戦する。
 なお、人口35万人のサクラメントへの本拠地移転案は完全に消えた。

 以前も書いたが、ローダイは人口3万人。球団経営が赤字になることは目に見えていた。さらに中村オーナーは、「これで本場のドラフト会議にも参加でき、新人を獲得できる」と言っていたが、これもどうか。
 要はアメリカのドラフトで有望選手を獲得し、その中からロッテに派遣したり、選手交流の契約を結んだオリオールズに高額で売ったりしていきたい、ということだが、そもそもドラフト会議に本当に参加できるのか、という問題もあった。

 今回の動きは岸信介元首相がバックアップしていたが、中村がいずれ政界に乗り込むときのためのアピール、ロッテが本業のお菓子メーカーとしてアメリカに進出するための足がかりとも言われたが、真相は定かではない。

 派遣の3選手について人選を任されたのが、2年目に挑むロッテ・大沢啓二監督。若親分は、新年の抱負を聞かれ、こう答えた。
「俺の今年の抱負は、オーナーに約束したロッテ王国建設のため、阪急から優勝奪回も目標だが、まずは若手中心で強力な基盤づくりをすることだよ。今年は機動力野球で突進だ。打線が小粒になったかもしれんが、“粘りを出す”ことがうちの目標。なにしろ、うちの親会社はガム会社だからな。ワッハッハ」

 と上機嫌。ただ、年末からの選手の契約更改はかなり渋めとなり、大荒れ状態。心労もあってか、担当の武田代表が球団事務所で貧血のためダウンする騒ぎもあった。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング