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移籍が転機に…前球団が放出を後悔するほどの活躍を見せた選手は?

 

今や巨人に欠かせない中継ぎ左腕となった高梨雄平


 今シーズンは巨人の高梨雄平や、日本ハム杉浦稔大といった、トレードで他球団に移籍した選手の躍進が目立つ。特に高梨は9月15日現在、24試合に登板して12ホールド、防御率0.86と圧巻の数字を残しており、放出した楽天からすると「放出しなければよかった……」と思える活躍を見せている。今回は、2005年以降で「前球団が放出を後悔するほどの活躍を見せた選手」をピックアップしてみた。

移籍先で首位打者に……


移籍に伴って登録名を土谷鉄平から鉄平に。シュアな打撃で楽天打線のけん引役となった


 まずは楽天で活躍した鉄平だ。2001年ドラフト5位で中日に入団した鉄平だが、ファームでは活躍するものの、一軍での出場機会がなかなか得られない日々が続いた。そのため、2005年オフにトレードで楽天に放出。楽天では9打席連続三振を記録することもあったが、1年目から打率.303をマークし、チームの主軸として活躍した。その後は不動のレギュラーとなり、2009年には打率.327で首位打者のタイトルを獲得。球界屈指のバッターに成長した。

 2006年に交換トレードで広島から西武に移籍した福地寿樹も、新天地で活躍した選手。広島時代はリーグ2位の盗塁を記録したこともあったが、右足首の靱帯を切断するなどの不運もあり成績は下降し、放出されることになった。ところが、西武では開幕から好調を見せ、シーズン序盤で早々にレギュラーを獲得。最終的に91試合に出場して打率.289、4本塁打と活躍、リーグ3位となる25盗塁を記録した。翌2007年も117試合で打率.273、28盗塁をマーク。この年のオフにFAの人的補償でヤクルトに移籍し、そこでも2年連続の盗塁王に輝き、広島と西武の2球団を悔しがらせることとなった。

 2017年にリーグ最多ホールドを記録した阪神桑原謙太朗は、2度の移籍を経て大成した選手だ。2008年ドラフト3巡目で横浜に入団した桑原は、思うような結果が残せず2010年オフにオリックスに放出。ところがオリックスでも活躍できず、阪神に放出されることになる。阪神でも苦しいシーズンが続くが、阪神3年目の2017年にセットアッパーに起用されると才能が開花。67試合に登板してリーグトップの39ホールドを記録した。阪神に欠かせない存在となった桑原は、2018年も62試合で登板。現在は右ヒジ痛で戦列を離れているが、今季は復活が期待される。

移籍を機に才能が開花


 阪神で中継ぎとして活躍した榎田大樹は、左ヒジ痛の影響もあり徐々に調子が下降。2017年にはわずか3試合の登板に終わるなど、ふがいない成績が続いた。こうした不調もあり、2018年の開幕前に交換トレードで西武に放出されてしまう。新天地の西武では、左腕不足から先発で起用され、初戦でいきなり白星を記録。この勝利を皮切りに破竹の4連勝を挙げ、先発ローテーションの一角として活躍した。最終的にこの年は23試合に登板して自己最多の11勝でリーグ優勝に貢献した。

あのまま巨人にいたらどうなっていたか……。現在は日本ハムでノビノビとプレーする大田泰示


 日本ハムの大田泰示も「新天地で活躍した選手」として必ず挙げられる選手。高校通算本塁打65本を記録した大田は、2009年ドラフト1位で巨人に入団。将来を担う逸材として期待されたが、伸び悩むシーズンが続き、プロ8年目の2016年オフにトレードで日本ハムへと移籍した。するとこの移籍が功を奏したのか、日本ハムでは118試合に出場して打率.258、15本塁打、46打点と活躍。外野のレギュラーに定着すると、翌2018年も打率.274、14本塁打、59打点をマークした。特に長打力の向上には目を見張るものがあり、巨人では8シーズンで9本だった本塁打が、日本ハムでは3シーズンで49本と大きく成長した。今シーズンも不動のレギュラーとして9月15日現在、打率.299、7本塁打と活躍中だ。

 トレード移籍を機に活躍した外国人も少なくない。最近では日本ハムからDeNAに放出されたエドウィン・エスコバーがその最たる例だ。2017年に日本ハムに加入し、先発での活躍が期待されたエスコバーだが、外国人枠との兼ね合いで出場機会がなかなか得られなかった。そのため、中継ぎの補強を求めるDeNAとのトレードが成立した。念願の出場機会を得たエスコバーは、加入初年度は27試合に起用され好投すると、翌年は53試合で13ホールドとチームに欠かせない中継ぎに成長。2019年にはリーグ最多の74試合に登板して33ホールドを記録している。

 今シーズンは高梨、杉浦以外にも、ロッテから楽天に移籍した涌井秀章、楽天から巨人に移籍したゼラス・ウィーラーなども、新天地で活躍している選手。巨人からロッテに電撃移籍した澤村拓一も、初登板試合で3者連続三振と、今後の活躍を予感させるプレーを披露。元の所属球団を後悔させるほどの活躍を見せてくれるか、今後の活躍が見逃せない。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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