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週べ60周年記念

巨人・長嶋茂雄流打撃術の極意/週べ回顧1972年編

 

 一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

コーチとしての抱負も


表紙は巨人高田繁


 今回は『1972年1月31日号』。定価は90円。

 72年から兼任コーチとなる巨人・長嶋茂雄は1月、静岡県大仁で自主トレを行った。大好きな富士山を望む自主トレは、今回で五度目。トレーニングとともに多くの書物を持ち込み、コーチ修行もあってか読書に励む予定という。

 今回は、その自主トレ密着記事の中で書かれていた長嶋流打撃術について抜粋する。
「これは自分流のいわゆる自然体だと思うんだ。バッティングというのは、顔の向き、角度が1ミリずれても、あとのフォームは全部違う。
 僕のは構えたとき、顔の位置は股間の一物の真上にきているはずだ。背筋をしゃんと伸ばし、内懐を広く取って、両腕の位置を高く大きく決める。おとなしくまとまり過ぎてもいけない。どこか荒削りの迫力のようなものが混ざってないと相手を威圧できない」
 長嶋はフォームで打つタイプではないと言われた。実際、アウトステップし、腰がひけてもあらゆる方向に打球を飛ばすことができた。

「バッティングというものは、もともと単純なんだ。1でバックスイングに入り、2でスイングとミート、3でフィニッシュという基本動作からなっている。
 しかし、僕流に言わせてもらえば、この1、2、3の基本動作もすべて最初の姿勢で決まるということだ。フィニッシュのとき、上体が三角形の理想形をつくり出すのも、最初の1次第ということだ」
 さらに言う。
「もっとも、僕はこの構えを見つけ出すのに、自分自身で考え、探りを入れ続けて14年かかった。今の若い人たちも、自分でチェックして、自分で納得するものを見つけ出す努力をしてほしいんだな。人から言われてばかりいるようではダメなんだ。僕はコーチは便利屋であってはならないと思うんだ。
 今の若い世代は、何かと上から押し付けられたものをあてにし過ぎる。また、世間も過保護だ。これでは個性の豊かな、調和のとれた才能は生まれてこないよ。コーチに頼るのではなく、自分自身で創意工夫することを第一に考えてほしいな。
 便利屋としてこき使われるのは迷惑だ。そんな心がけなら若い連中には教えてやらないつもりだ」
 
 今どきトークは不変だ。

 では、次は水曜日に。少しのんびりさせていただきます。

<次回に続く>

写真=BBM
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