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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

報道関係者からも慕われていた川村隆史さんとの思い出

 

川村隆史さんはトレーナー、コンディショニングコーチ、コンディショニング担当として30年近くホークスのために働き、誰からも慕われた


 ソフトバンク・川村隆史三軍コンディショニング担当の訃報を聞き、言葉を失った。9月16日、遠征先の神戸市内にて、くも膜下出血で急逝。55歳だった。

 温厚な人柄で、いつも明るく、和やかな性格。球団はもとより、報道関係者からも慕われていた。

 2002年2月、高知キャンプは「寺原隼人フィーバー」に沸いていた。前年夏の甲子園で154キロを計測した日南学園高出身の大物ルーキーである。「注目新人の素顔」を取材するため当時、一軍のコンディショニングコーチだった川村さんにインタビューに応じていただいた。

 グラウンド横のトレーニング場にあったプレハブ小屋に通してもらい、30分ほど、速球派投手の潜在能力等について語ってもらった。とにかく、勉強熱心。時代に合わせ、新たな理論を積極的に取り入れる柔軟さもあった。

 当時、福岡ドームでは誰よりも早く、フィールドに姿を見せていた。18時開始のナイトゲームでも、10時過ぎには球場入り。売り出し中だった川崎宗則ら若手だけでなく大道典嘉小久保裕紀松中信彦井口資仁といった中心選手まで、早出練習が伝統だったホークス。川村さんは選手と寄り添っていた。試合前のウォーミングアップでは、思わず、こちらも元気が出てしまうほどの掛け声で、ナインを鼓舞していたのが印象的だ。

 その後、二軍へ配置転換以降も、当時のファームの練習拠点であった雁の巣では、早朝から夕方まで施設内を動き回っていた。

 勤勉。真摯。愚直。だからこそ、信頼が厚かった。ホークス担当として駆け出しの身ではあったが、いつも丁ねいに接してくれた。川村さんと話をすると、ホッとした。包容力があった。誰もが、そう思ったはずだ。

 感謝に堪えない。合掌。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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