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楽天通算1000勝で思い出した平石洋介が何度も口にした先輩への感謝

 

2005年の開幕、3月26日のロッテ戦に勝ち記念すべき球団1勝目を飾った(左から田尾安志監督、岩隈久志


 9月22日のロッテ戦(楽天生命パーク)に勝利した楽天は球団創設16年目にして通算1000勝目に到達した。通算2220試合での1000勝は史上8番目の速さ。三木肇監督は「ファンの声援と支えがこの1000勝につながっている」とあらためてファンの存在に感謝した。

 節目の勝利を機に、ふと思い出したことがある。それは初年度のことだ。2005年は38勝97敗1分。宮城県出身の私にとって、当時の印象は「勝ちのニュースが少ないなあ」だった。だからこそ、負ける悔しさよりも勝利する喜びのほうが大きかった。だが、09年のクライマックスシリーズ進出のあたりからだろうか。気が付けば勝つ喜びよりも負ける悔しさのほうが大きくなっていたように感じる。今思えばこれこそが強いチームになっていった証拠なのかもしれない。そのチームの成長とともに環境も大きく変わっていった。

 2018年に週刊ベースボール60周年企画で、楽天のドラフト1期生であり当時監督代行を務めていた、平石洋介氏(現ソフトバンクコーチ)に楽天の歴史について話をうかがったことがある。オリックスとの分配ドラフトにより編成された当時のチームは、ベテランと呼ばれる選手が多かった。社会人を経て入団した平石氏だったが「大先輩が大半を占めていたので、そりゃあ、気を使いましたね」と苦笑し、春季キャンプでは気疲れによって7キロ体重が減ったそうだ。

 だが、そのインタビュー中に何度も口にしたのはその先輩たちへの感謝の言葉だった。「当時の先輩がたがいろんな環境を変えるために球団の方としっかり話をされて、ものすごく頑張ってくれたところを見ていました。今こうやって充実して野球をやれているのも、今までおられた数々の先輩方、そして球団も含め多くの方がいろいろ頑張ってくれたということは絶対に忘れてはいけないなというのはあります」。話を聞きながら、変化の渦中にあるチームを間近で見てきた人がいるというのは非常に貴重なことだと感じたのを覚えている。

 一、二軍の球場や寮、トレーニング施設などは見違えるほどの変貌を遂げた。さらにチームも若手から中堅、ベテランがそろい、それぞれの役割をまっとうしながら勝利に向け戦っている。楽天ファンに限らず、野球ファンがその歴史の一端を見ているのだ――。

 23日には1001勝目を挙げた楽天。次なる節目に向け歩み始めた。

文=阿部ちはる 写真=BBM
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