埼玉西武ライオンズ
これも“最強捕手”になるための試練なのだろうか。昨季、史上4人目の捕手で首位打者に輝き、チームの連覇に貢献し、MVPにも輝いた森友哉。今季も背番号10が扇の要、そしてクリーンアップとしてチームを力強くけん引すると思われた。しかし、開幕から投手陣が低迷。責任を一身に背負い、打撃にも悪影響を及ぼして不振に陥った。徐々にスタメンマスクの機会が減り、代わりに出場した
岡田雅利や新人の
柘植世那が好リードを見せる。9月24日までスタメンマスクをかぶった捕手の勝敗は森が2勝7敗、岡田が5勝、柘植が4勝3敗。しかし、9月25日の
楽天戦(メットライフ)で森が捕手としてスタメン出場すると自身の連敗を6でストップ。翌日の同カードにも勝ち、自信を取り戻しつつある。果たして、森がこのまま上昇気流を描くことができるか。
福岡ソフトバンクホークス
2017年から着実に出場試合数を伸ばし、絶対的正捕手へと成長を続けてきた甲斐拓也だが、今季はスタートから悪戦苦闘中だ。開幕からなかなか先発投手を勝ちに導けず、13試合目には早くもスタメン落ち。その後も、ベテランの
高谷裕亮や、高卒4年目の
九鬼隆平にスタメンマスクを譲る試合もあった。リード面で考えることが増えると、打撃にも影響が及び、好不調の波が大きく。攻守ともに状態を上げるべく、練習にも力が入る。現状では、昨季以上に高谷がスタメンマスクをかぶる試合が増えてきた。甲斐には甲斐の、高谷には高谷の、良さがあり、一概に併用策が問題とは言えないが、甲斐には正捕手としてのプライドを高く持ってもらい、高いレベルでポジションを競い合ってほしいところだ。
千葉ロッテマリーンズ
意地の早期復帰だ。開幕直前に急性腰痛を発症も、開幕スタメンマスクをかぶってチームを支えた田村龍弘。
柿沼友哉や新人捕手の
佐藤都志也など、打力が武器のライバルにスタメンを譲ることもあったが、打率.208ながら本拠地・ZOZOマリンでの31試合で16打点と勝負どころの一打でアピール。そんな中で9月9日に死球を受けて右人さし指を骨折のアクシデントも、22日にスローイングを開始して27日に一軍復帰し、即試合出場とチームが優勝争いに加わる中で意地の復帰を果たしている。2005年以来、15年ぶりとなる悲願へ。正捕手が、チームを優勝に導いていく。
東北楽天ゴールデンイーグルス
長く正捕手として活躍した
嶋基宏が
ヤクルトへ移籍し、「ポスト嶋」確立がチームの至上命題となっていた。期待に応えたのは大卒2年目捕手・太田光だ。開幕スタメンマスクを実現させると、序盤は打での活躍が光った。強肩も大きな武器で、一時はソフトバンク・甲斐拓也を抑えて、盗塁阻止率でリーグトップに立つことも(現在は.333の2位)。正捕手の座は手の届くところにあったが、プレー中に左肩を負傷して無念の登録抹消となった。診断の結果は左肩関節唇損傷で、今季中の復帰は絶望的。しっかり治して巻き返しを図りたい。
北海道日本ハムファイターズ
調子とピッチャーとの相性を踏まえ、宇佐見真吾と
清水優心による併用が続いている。インサイドワークでは宇佐見、肩では清水にやや分があるが、打撃はともに開幕から1割台と低迷。どちらも正捕手を奪うには決定打に欠けているのが現状だ。特に宇佐見は
巨人での打撃力を高く評価されての移籍だっただけに、奮起が待たれる。もちろん清水も入団時から将来の正捕手候補として英才教育を受け、一本立ちしないといけないシーズン。その背中を虎視眈々と追うのが7年目の
石川亮、4年目の
郡拓也の2人。現在はファームで汗を流しているが、首脳陣の評価はともに高く、少ないチャンスをつかめれば一気に正捕手争いに加わってくる可能性は十分にある。
オリックス・バファローズ
強打を武器に正捕手争いに参戦しているのが伏見寅威だ。昨季、左足アキレス腱を断裂し、長いリハビリを経て開幕直前に一軍復帰。今季も
若月健矢がスタメンマスクを多くかぶり代打出場などに甘んじていたが、
中嶋聡監督代行となってからはスタメン起用が増え、4本塁打、打率.275とバットでもアピールを重ねている。東海大時代は
菅野智之(現巨人)とバッテリーを組むなど、“大学No.1捕手”としてプロ入りしてから8年。定位置奪取を視界にとらえ、若月と熾烈なポジション争いを演じている。
写真=BBM