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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

“逆の過程”で培ってきたオリックス・安達了一の守備

 

軽快かつ安定した守備を見せるオリックス安達了一


“美守”という言葉がよく似合う。正面に入れる打球も、ときに逆シングルで捕球し、流れるようにスローイング。肩こそ強くはないが、それをカバーできるだけの動きを見せているのがオリックスの安達了一だ。

 そんなプレーの遠因には経歴がある。小学時代はソフトボールでプレーし、中学時代は外野手。群馬・榛名高に入学すると三塁手を務め、遊撃手になったのは高校2年からだ。

 そのため「基礎という基礎練習はそこまで多くやってこなかった」と苦笑するが、だからこそ型にハマらぬ動きを呼んでいる。打球の正面で腰を落とし、確実に捕球――。多くの選手がアマチュア時代に教えられる、その“固定概念”に縛られていない。

「人工芝の球場はスパイクがひっかかることもあるので、あえて逆シングルで捕ることもあるんです。すべて正面に入ろうとしてはダメ。判断力がショートではより大事になる」

 あらゆるケースを想定し、キャッチボールやノックでも、あえてボールを三本指で握って送球するなど“対応”を最重視する背番号3。ただ、基礎を疎かにしているわけではなく、オリックスに入団2年目の春季キャンプで、当時監督の森脇浩司氏に“基礎”をたたき込まれた。

「捕球も送球もすべて。徹底的に森脇さんに指導していただきました。そこで思ったんですよね。もっと早いうちに基礎をやっておけば、と。基礎の大事さをあらためて感じました」

 基礎があっての応用も、逆の過程で培ってきた守備力。とっさの判断を強いられる中で見せる華麗なプレーは、その過程の産物でもある。

 2016年に潰瘍性大腸炎を患ってからは休養日を設けての出場が続き、今季も出場は94試合のうち62試合。とはいえ、失策はわずか2と安定感は際立ち、守備率.992はパ・リーグの遊撃手でトップを記録している。

「自分は守備で引っ張るタイプ」と自負しているだけにゴールデン・グラブは「(初タイトルは)取れるなら取りたい。名前を残したい気持ちはあります」と言ってきた。今季、ここまで西武源田壮亮の守備率を上回り、ソフトバンク今宮健太も故障離脱するなど、悲願の初タイトルへ機運も高まる。残り26試合、最後まで堅守を披露する。

写真=BBM
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