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2020ドラフト

リーグ戦初完封、“ドラ1候補”明大・入江大生が進化を果たした理由とは

 

明大の4年生エース・入江大生は法大1回戦(10月11日)で、リーグ戦初完投勝利を完封で飾った



 テーマは、心身における「脱力」だった。

 明大・入江大生(4年・作新学院高)が法大1回戦(10月11日)で、リーグ戦初完投勝利をシャットアウト(4対0)で飾った。

 開幕から早大(第1週)、立大(第2週)の2カードでは、本来の力が出し切れなかった。明大の第3週は空き週。「何かをしないと、新しい結果は生まれない。日々、成長するイメージで練習から取り組んできた」と、法大との第4週までの約2週間を、修正の期間に充ててきた。

 なぜ、入江は進化することができたのか?

「気持ちが入り過ぎてしまって、力が入ってボールが上ずる。同じミスをしないように、入り込み過ぎないように……。1週目はシート打撃、ブルペンで投げて、力を抜く感覚を覚えました」

 カーブをリラックスして投げることで脱力感をつかみ、決め球のストレートに、腕の振りを生かした。走者がいないときもセットポジションにして、勝つ投球を求めた。

 スライダー、スプリットをコーナーに集め、要所では150キロ近いストレートがズバッと決めた。自己最多13奪三振の完封劇だった。

 体だけでなく、精神面でも力を抜いた。

「監督から『バックネット裏と勝負するな』と。気にならないと言ったら、ウソになる。目に入れないように、戦うのは相手のバッターだ、と。(結果的に)気持ちのこもったボールが1球でも多く、スカウトの方に評価していただければと、投げていました」

 10月26日にはドラフト会議が控える。

 入江の「思い」はネット裏に届いた。あるベテランスカウトは「この2カ月で大きく変わった。1位でないと、取れないレベルにきている」と目を丸くさせていた。前日(10日)には1学年先輩の広島森下暢仁が8勝目を挙げれば、DeNA伊勢大夢がプロ初勝利。18年に森下(19年は主将により背番号10)、19年には伊勢が着けたエース背番号11を引き継ぐ入江は、リーグ戦33試合目での初完投初完封に「素直にうれしい。(先輩2人にも)負けていられないです」と笑顔を見せた。

 最も難しいとされる「脱力」をつかんだ4年秋のラストシーズン。作新学院高では2016年夏の甲子園で3試合連続本塁打を放つなど、クリーンアップとして全国制覇に貢献した。当時は西武今井達也の控え投手の立場だった入江は、明大で投手専任に。これで通算4勝目。この4年間は思うようなボールが投げられず、苦労の連続だったが、地道に努力を重ね、投手として新たな領域へと入った。

文=岡本朋祐 写真=佐藤雅彦
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