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川口和久WEBコラム

DeNA・梶谷隆幸はなぜ覚醒したのか/川口和久WEBコラム

 

呼び込んで打てるようになった


現在打率.318でリーグ2位


 巨人独走で終わりそうなセ・リーグ。昨年2位ながら現在、勝率5割を切って4位のDeNAは、報道では監督交代とも伝えられる。
 賛否両輪があったラミレス采配だが、こと打者を見る目については、俺が投手出身もあって素直に「すごいな」と思う。
 チーム打率.268はリーグトップ。特に四番・佐野恵太なんて少なくとも俺の想定内にはなかったからね。

 ただ、もう打線でのもう一人の覚醒男、9月に球団史上最多月間42安打を放った梶谷隆幸については、ラミレス監督の目とは関係ないかもしれない。

 これは他球団の関係者も認めると思うが、梶谷という選手は、もともと素晴らしい身体能力と打撃センスを持っていた。
 ただ、毎年、成績は打率2割7分くらいで、三振は100以上と、はっきり言えば、穴だらけだった。
 巨人のコーチ時代、梶谷が打席入った際、1、2球目は怖いが、追い込んでしまうと安心した。それこそ0−2から3球勝負で際どい球を投げると、あっさり三振してくれることも多かった。
 あと、初めて当たる投手ならまず打たれないと思っていたし、実際、そうだった。
 人見知りバッターというのかな。

 技術的には、ボールをそれほど呼び込まず、いわゆる自分のタイミングで積極的に打っていくタイプで、合えば、どんな難しい球でも打つが、合わないと打てない、というか打ち気が感じられない。あっさり三振し、何が悪いの、みたいな顔をしていた。
 本人とそのことを話したことはないが、たぶん、自分の納得するスイングで打つことへのこだわりだったのかもしれない。カッコよく言えば、投手に合わせるんじゃなく、自分のスイングを貫くというのかな。

 甘い球を待つのは悪いとは言わないが、情報の少ないピッチャーへの対応は、やはりボールを長く見なきゃできない。そうすると、詰まることもあるが、それでも逆方向のヒットゾーンに運ぶことで打率も上がってくる。

 それが今年はできている。
 ボールへの対応がよくなって三振をしなくなったし、センターから逆方向に強い打球を返せるようになった。

 おそらく自身で、このままじゃ終わってしまうと感じての変化だと思うが、もしラミレス監督のアドバイスがあったなら、それはそれですごい。
 俺は来季は三番を打ってほしいと思う。ランナーをためて今の梶谷なら他球団も怖いはずだ。

写真=BBM
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