一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 巨人・浜村の事故
今回は『1972年2月28日号』。定価は120円。
各チームがキャンプイン。ただ、収穫とともに予期せぬ事故の話も入っている。
まずは巨人。2月5日、サーキットトレーニング中、腕力強化のため使っていた滑車の5キロの重りが
末次民夫の右足に落ち、足指を負傷。10針縫った。全治は2カ月とも言われ、今年こそ五番と言われた男に暗雲が漂う。
さらに悲惨だったのは、
浜村健史だ。西鉄から移籍2年目だったが、10日、積雪の中、多摩川に向かう際、車のタイヤにチェーンを巻こうとしていると、開けていたドアと車庫の柱に右手小指を挟まれ、一部を切断したという。詳しくは書いていないが、凍結した坂道で車が下がってしまったのだろう。
また、近鉄ではキャンプ地の球場に向かうバスにミキサー車が衝突し、鈴木、清、永淵、辻、坂東がむち打ちになった。
直後、永淵は吐き気もあったというが、幸いみな、さほど重症ではなかったようだ。
運転手が近鉄選手のバスと気づき、中をのぞこうと近寄り過ぎたためだったという。
なお、事件後、運転手は免許停止処分を受けたが、被害者の近鉄ナインが減刑嘆願書を警察に届けた。
「あの運転手、新婚らしいよ。われわれは何事もないが、マスコミが騒いだのでクビになるかもしれない。免停を食らったら生活に困るだろう」
ということだった。運転手が事件後、何度も選手宿舎に訪れ、謝罪していたのもあったらしい。
警察は、
「事故でもつれる被害者と加害者は多いが、今どき珍しいですね」
と驚いていた。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM