週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

ドラフト入団拒否からタイトルホルダーへと成長した選手は?

 

 ドラフトでプロチームに指名されることは非常に名誉なことだ。しかし、意中の球団以外から指名されたり、自分が思っていたよりも下位の順位で指名されたりといった場合は、「入団を拒否」するケースも少なくない。例えば、今シーズン快進撃を見せている巨人菅野智之は、入団拒否の後に巨人に指名され、プロ入りした選手。現在の巨人での活躍を見ると、入団拒否の判断は間違っていなかったいえる。今回は、菅野のように、入団拒否からタイトルホルダーへと成長した選手を紹介する。

入団拒否を経てプロ入りした選手の多い巨人


最終的に阪神とのトレードで巨人入りした江川


「空白の一日」が有名な江川卓は、高校3年生時に阪急からドラフト指名されたが、進学を希望していたためこれを拒否している。その後、1977年のドラフトでもクラウンライターライオンズの指名を拒否。江川は在京球団を希望していたが、クラウンの本拠地が福岡だったため、拒否に至ったという。これで2度目の入団拒否となった江川は、1年後のドラフト直前に巨人と電撃契約。いわゆる「空白の一日事件」だ。その後は皆さんもご存じのとおり、紆余曲折の末に巨人に入団。エースとして最多勝、最高防御率など複数のタイトルを獲得した。

 現在広島でプレーしている長野久義は、2006年、2008年と2回連続で入団を拒否した選手。2009年ドラフトで念願の巨人入りとなった。長野は、1年目からレギュラーを勝ち取ると、途中二軍落ちを経験するも128試合に出場。打率.288、19本塁打の好成績を残し、セ・リーグ新人王に輝いた。翌2011年はさらなる飛躍を見せる。1年目を超える140試合に出場すると、阪神のマット・マートンと激しい首位打者争いを繰り広げ、見事に打率.316でタイトルを獲得。2012年にも最多安打をマークするなど、巨人の主力として活躍した。

 巨人のエースとして活躍し、現在は西武でプレーしている内海哲也も、入団拒否を経て巨人に入団し、タイトルホルダーとなった選手。内海は祖父・内海五十雄が巨人の選手だったこともあり、巨人入りを熱望。そのため、高校3年時のドラフトではオリックスの指名を拒否して社会人野球へと進んだ。その後、2003年のドラフトで、巨人入りした内海は、2年目に開幕ローテション入りを果たすと2006年に二桁勝利を記録。2007年は最多奪三振、2011年、2012年は最多勝のタイトルを獲得した。

あのレジェンドも入団拒否を経験


近鉄の入団を拒否して日本生命に進んだ後、中日入りした福留


 巨人以外では、現在は阪神でプレーしている福留孝介が、入団拒否からタイトルホルダーに成長した選手だ。福留は幼少期に立浪和義からサイン入りバットをもらったことがきっかけで、立浪と同じ中日でのプレー(PL学園高入りも立浪の出身校というのが理由)を決意。そのため、高校3年時の1995年ドラフトで近鉄から指名されるもこれを拒否し、社会人野球へと進んだ。その後、1998年ドラフトで中日を逆指名して入団。福留はあこがれの球団で球界屈指の大打者へと成長し、首位打者2回、最高出塁率3回を記録した。

 40歳を超えてなお活躍し、「不惑の大砲」の異名で恐れられた大打者・門田博光も入団拒否を経験している。高校卒業後は社会人野球でプレーしていた門田は、ドラフト会議が始まって3年目の1968年に、阪急から12位で指名を受ける。しかし、これを拒否したことで、翌1969年に南海から2位指名を受けることになり、プロ入りを果たした。

 ドラフト黎明期は入団拒否が非常に多く、中には後に球界を代表する選手に成長する選手もいた。例えば、平松政次山田久志といった後の大投手。平松は高校3年時の1965年ドラフト(記念すべき第1回目)で中日から4位で指名されるも、これを拒否して社会人野球に進んでいる。また、山田も1967年のドラフトで西鉄に11位指名されるが、家族の反対から西鉄には入らず、社会人野球へと進んだ。

 入団拒否からタイトルホルダーへと成長した選手をピックアップして紹介した。現在は2016年を最後に入団拒否した選手は出ていない。何年もチャンスを待つよりも、思い切って早い段階でプロに飛び込み大成する例もあるが、こうした「意中の球団に入るまで断固拒否」という気骨のある選手はファンも応援したくなるもの。今年は果たしてそうした選手が登場するのか、ドラフト会議は10月26日を楽しみに待ちたい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング