週刊ベースボールONLINE

2020ドラフト

早大・早川隆久が「本物になった」と小宮山監督が確信した瞬間とは?

 

防御率は驚異の0.25に


早大・早川はドラフト2日前の立大1回戦(10月24日)で、3安打完封。今季の2度目のシャットアウトで防御率を0.25とした


 この秋、早大・早川隆久(4年・木更津総合高)は投げるたびに、グレードアップしたピッチングを披露している。

 明大との開幕カードで17奪三振。法大1回戦ではリーグ戦初完封(13奪三振)。同2回戦では2点ビハインドから救援して相手の流れを止め、引き分けへと持ち込んだ。東大1回戦では7回1失点、13奪三振の貫録投球。

 4試合で3勝、防御率0.34(失点2、自責点1)。26回2/3を投げ46個の三振を奪い、奪三振率は15.53。しかも4四死球と、もう誰にも止められない快投を続けていた。

 10月24日からの立大1回戦を控えた調整期間。安部寮(早大野球部合宿所)の応接室で小宮山悟監督(元ロッテほか)は、自らの大学4年時と同じ立場である「主将兼エース」を絶賛した。「投げる精密機械」と言われたNPB通算117勝右腕の言葉には説得力がある。

「(早川の情報は)丸裸ですよ。にもかかわらず、あれだけの投球ができるすごさ。もし、立教戦で同じようなことがあったら、えらいことになる」

 本当に、えらいことになってしまった。

 早川は立大1回戦で3安打、12奪三振の完封で4勝目。しかも、しびれる「1対0」。投手としては最も達成感のあるシャットアウトである。3年秋までに7勝12敗。大きく負け越していたが、春1勝(0敗)と秋の4勝(0敗)でついに、12勝12敗のタイとした。早川にとっては大学入学以来初、2015年秋以来のリーグ制覇へと導いた上で「貯金を作って、卒業したい」と決意を語る。

 小宮山監督は早川のこの秋の絶好調ぶりを、実は夏場の時点で予言していた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、春季リーグ戦は8月に再延期され行われた。そこで早川は開幕カードの明大戦で自己最速を4キロ更新する155キロを計測し、自身初の完投勝利を挙げるなど、飛躍への予兆を見せていた。

 約1カ月後に控えた、秋のリーグ戦開幕へ向けた、安部球場のレフト後方のブルペン。

「これまでも『おっ!』というボールは投げていましたが、その想像を超えていた。ただの真っすぐではない。ビックリするボールが、ヒザの高さに集まる。垂れずにビシバシ。これは楽しみだな、と。本物になったと確信しました」

ロッテが1位指名を公表


 さかのぼれば、1年前。早川は昨年7月の日米大学選手権(日本開催)で、最優秀投手賞(9回、防御率0.00)を受賞し、日本の優勝に貢献した。メジャー予備軍を相手にして、圧倒的な投球を見せていただけに、小宮山監督は手応えを得ていた。「来年の早川はすごいことになる」。この1年での球筋、球質の成長ぶりは想定以上だが、ドラフトについては「目玉として大騒ぎされているのは想定内なので、驚きでも何でもない」と淡々と語る。

 10月15日には早川の地元・千葉を本拠地とするロッテが1位指名を公表した。進路が決まる4年秋にピークを持ってきた調整能力。今年1月に「プロで勝負する上で、大学生相手に打たれているようでは、話にならない」と語っていたのを思い出す。自らに重圧をかけ、結果で示した。小宮山監督が「個人的に楽しみです」と語るドラフトは、10月26日だ。

文=岡本朋祐 写真=井田新輔
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング