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巨人が2年連続の優勝を果たした3つの要因とは?

 

リーグ連覇を決めて胴上げされた原監督



1.絶対的エースの存在


開幕から13連勝を記録するなど負けないエースとして投手陣の中心となった菅野


 今季の巨人は開幕から好スタートを切り、最終的には他球団の追随を許さない独走でリーグ2連覇を決めた。最大の功労者は、絶対的エースの菅野智之だ。ここに異論が出ることはない。そう断言できるほどの存在感だった。

 開幕から1966年の堀内恒夫に並ぶ無傷の13連勝(球団記録。開幕投手からでは球団新記録であり、NPB新記録)をマーク。記録が途切れた10月13日の広島戦(東京ドーム)の試合後、チームを率いてきた原辰徳監督も「ずっと緊張感の中で投げて、チームを非常にいい状態にしてくれた。記録というのは永遠に続くものではない。次につなげればいい」と右腕へ感謝の思いを口にしていた。

 今季はコロナ禍の影響で、開幕がたびたび、延期となった。実戦練習も少なく、無観客ではモチベーションの維持も懸念された。当然ながら例年に比べ、チームも選手も調整は難しくなる。その中での圧巻投球。オフに取り組んだ大胆な投球フォームの改造も成功した。

 ソフトバンク千賀滉大らも師事する『鴻江スポーツアカデミー』に出向き、腰痛に苦しんだ昨年の経験も踏まえ、停滞することなく変化を求めた。同アカデミー代表の鴻江寿治氏が提唱する「骨幹理論」で、菅野は「うで体(猫背)」とされ、理想とされる腕から始動する投球フォームに変更。直球はさらに球威とキレを増し、高めのコースで空振り三振を奪うシーンがより増えた。これまで主体ではなかったフォークも落差、鋭さを増し、相手打者に残像を残す効果もあった。

 チームの先発投手陣は盤石ではなかった。菅野とともに2本柱として期待されたA.サンチェスも、日本野球への適応に時間を要した。昨季8勝で頭角を現したかに見えた桜井俊貴も不振。先発復帰した田口麗斗もシーズン終盤にはリリーフで起用された。それだけに計算できる菅野は頼もしく、唯一無二の存在となった。

2.「扇の要」の独り立ち


強打も発揮して中盤以降は正捕手として定着した大城


 さすがに菅野までの貢献度ではないが、捕手・大城卓三が独り立ちしたことも大きかった。開幕戦となった6月19日の阪神戦(東京ドーム)のスタメンマスクは小林誠司。途中出場も炭谷銀仁朗に譲り、大城に出番はなかった。それでも翌日の2戦目では先発マスクで出場した。6月には小林(骨折離脱)の2試合に対して、大城は7試合出場。7月に入ると、21試合の出場で打率.333と持ち味の打力を発揮し、シーズン中盤以降は先発マスクに定着してみせた。

「扇の要」と表現されるポジション。それだけに固定できることが理想だ。巨人の捕手と言えば、長きにわたり、阿部慎之助二軍監督が君臨してきた。引退後は後継者が定まらず、18年オフには西武から炭谷をFAで獲得するなど補強ポイントにもなっていた。そこを固定できたことで、チームの守備にも安定感が備わった。

3.原監督の編成面でのタクト


全権監督として見事な手腕を見せた原監督


 菅野、大城に続く3つ目の勝因は「原全権監督」の編成面でのタクトだろう。3期目の指揮官復帰に際し、球団から編成面の権限も授かった。推進力と球界の人脈を生かし、楽天とはトレードを繰り返して高梨雄平やZ.ウィーラーを獲得。将来有望な高田萌生を放出するなど、新天地での活躍を期待して送り出す「親心」もあった。育成からもI.モタやE.ウレーニャなど次々と支配下登録。チームには自然と競争力が生まれ、原監督の思惑どおり、より戦う集団と化していった。

写真=BBM
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