週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

森下暢仁は21年ぶりの快挙なるか! 1年目で最優秀防御率獲得は過去何人?

 

10月31日現在、17試合に登板し、9勝3敗、防御率2.04と好成績を挙げている森下


 現在、セ・リーグの防御率ランキングは、大野雄大中日)、西勇輝阪神)、森下暢仁広島)、菅野智之巨人)の4人が僅差で並ぶ形となっている。この中で注目なのが森下だ。プロ入り1年目ながらシーズン序盤から好投を続けており、今や先発の柱としてチームに欠かせない存在に成長した。森下は終盤戦でさらに調子を上げてきており、1年目から最優秀防御率のタイトルを獲得する可能性もある。では、過去にプロ入り1年目で最優秀防御率のタイトルを獲得した選手は何人いるのだろうか?

50年にはセパ新人が獲得


稲尾は1年目から3年連続で最優秀防御率のタイトルに輝いた


 2リーグ制となった1950年から2019年までに最優秀防御率のタイトルを獲得した選手は延べ141人(2003年のパ・リーグで斉藤和巳松坂大輔の2選手が同率受賞)。このうち、プロ入り1年目でタイトル獲得の快挙を成し遂げたのは全部で12人いる。該当選手は以下のとおりだ。

大島信雄……防御率2.03(松竹/1950年獲得)
荒巻淳……防御率2.06 (毎日/1950年獲得)
宅和本司……防御率1.58(南海/1954年獲得)
稲尾和久……防御率1.06(西鉄/1956年獲得)
村山実……防御率1.19 (大阪/1959年獲得)
権藤博……防御率1.70 (中日/1961年獲得)
堀内恒夫……防御率1.39(巨人/1966年獲得)
佐藤道郎……防御率2.05(南海/1970年獲得)
安田猛……防御率2.08 (ヤクルト/1972年獲得)
木田勇……防御率2.28 (日本ハム/1980年獲得)
野茂英雄……防御率2.91(近鉄/1990年獲得)
上原浩治……防御率2.09(巨人/1999年獲得)

 2リーグ制開幕の1950年は、セパともにプロ入り1年目のルーキー投手が躍進した。大島信雄は最優秀防御率と最高勝率を記録し、セ・リーグ初の新人王を受賞。荒巻淳も最優秀防御率だけでなく26勝で最多勝にも輝き、こちらもパ・リーグ初の新人王となった。

 1954年には、南海のルーキー・宅和本司がいきなり26勝と活躍し、防御率1.58で最優秀防御率のタイトルを受賞。新人王にも選ばれている。当時はタイトルに制定されていなかったが、宅和は275奪三振でこちらもリーグトップ。なんと投手三冠を達成しているのだ。

 鉄腕・稲尾和久は、1年目から開幕一軍を勝ち取り、ルーキーながら最優秀防御率のタイトルを獲得。受賞した投手タイトルはこの1つだけだったが、この活躍が評価され、新人王にも選出されている。稲尾は翌年、翌々年も最優秀防御率のタイトルを獲得。プロ入り1年目から3年連続で同タイトルを受賞したのは稲尾のみ(3年連続受賞は巨人の菅野も達成)。

圧巻の投球を披露した新人たちが


村山は防御率1.19でタイトル獲得も新人王は逃した


 2代目ミスタータイガースこと、村山実もルーキーイヤーに最優秀防御率のタイトルを獲得している選手だ。ルーキーながらオープン戦で好投した村山は先発ローテーションの一角として活躍。18勝10敗、防御率はリーグトップの1.19と好成績を残す。その結果、新人ながら沢村賞にも選出された。しかし、新人王は新人最多本塁打を記録した大洋の桑田武が受賞。村山はこれほどの活躍を見せながら新人王にはなれなかった。

 1961年にはオープン戦で好投した新人の権藤博がチームのエースとしてシーズンを通して好投。なんと69試合に登板し(先発は44試合)、35勝を挙げるというとんでもない数字を残した。防御率も優秀で、リーグトップの1.70を記録。しかし、1年目からの酷使が響き、実働はわずか5年と短かった。

 1966年は、プロ入り1年目で圧巻の投球を披露した巨人の堀内恒夫が、最優秀防御率のタイトルを獲得。堀内は沢村賞と新人王にも選出された。1970年には、後にパ・リーグで初の最多セーブ投手となる佐藤道郎が、プロ1年目ながらも最優秀防御率のタイトルに輝いている。この年は主にリリーフとしての起用だったが、最終的に18勝と活躍し、新人王にも選ばれた。

 1972年は、後に王貞治の天敵と呼ばれる投手に成長するヤクルトの安田猛が、プロ1年目で最優秀防御率を受賞。この年の安田は、ルーキーでありながらいきなり投手陣の要として起用され、50試合に登板。これだけ多くの試合に登板しながらも防御率はリーグトップの2.08と圧巻の数字を残した。

上原浩治を最後に登場せず


防御率のタイトルを含め1年目に投手四冠に輝いた野茂


 1980年は日本ハムの木田勇が投手三冠を獲得。新人としては初となるリーグMVPにも選出されている。この木田の快挙に並んだのが、1990年の野茂英雄だ。この年がルーキーイヤーの野茂は、最多勝、最優秀防御率、最高勝率、最多奪三振の投手四冠を達成。新人王、リーグMVPのほか、パ・リーグの選手としては初となる沢村賞にも選ばれた。

 1999年には上原浩治が投手四冠を達成し、新人王、沢村賞も受賞。しかし、プロ入り1年目選手が最優秀防御率のタイトルを獲得した例は上原が最後。2013年は1年目の菅野が防御率リーグ2位と惜しかったが、上原以降で達成した選手は残念ながら登場していないのだ。

 もし森下が最優秀防御率のタイトルを受賞すれば、上原から21年ぶりの快挙となる。大野、西、菅野と、タイトルを競う相手は球界屈指のエース投手ばかりだが、森下も10月は4試合に登板して月間防御率は0.31と絶好調。果たして通算13人目の新人による最優秀防御率のタイトル獲得となるか、森下の快投を期待したい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング