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大学最終登板までエースの役割を全うしたオリックス4位のサブマリン

 

「噛み締めてマウンドに立った」


10月26日、オリックスから4位指名を受けた立大・中川は法大2回戦(11月1日)の最終登板で、リーグ戦通算10勝目を挙げている


 勝ったほうが4位。負ければ5位。立大は法大(2回戦、11月1日)との直接対決を制して(5対0)、3勝5敗2分で全日程を終えた。

 立大・溝口智成監督は「どうやったら勝つ可能性、最少失点、リスクを少なくできるか」と、4投手による小刻みな継投を成功させた。白星を挙げたのは、7回から3イニングを無失点に抑えた4年生のサブマリン・中川颯(桐光学園高、オリックス4位)だった。前日の1回戦も2番手として、3回無失点で勝利投手。最終カードで2勝を積み上げ、リーグ戦通算10勝目(8敗)。この日は、今秋限りで退任する前田一男野球部長にとっても最後の試合であり、有終の美を飾っている。

「優勝の味を知っている最後の代なので、つないでいきたい、と。4年生もそういう気持ちだったが、私の力不足もあって……。最後は自分たちらしいゲームができたので『よくやった!』という言葉を送りたい」(溝口監督)

 中川はシーズン途中、不振によりベンチを外れることもあった。「腐らずにやり切ろうと思った」。中川は1年春、15試合中10試合に救援登板し、35季ぶり13度目のリーグ優勝。全日本大学選手権でも59年ぶりの大学日本一に貢献し、最優秀投手賞を受賞している。

 1年秋以降、天皇杯を手にすることはできなかった。ラストシーズンも本来の投球ができない時期もあったが、背番号18は最後までエースとしての役割をまっとうした。法大2回戦は泣いても笑っても、学生ラストゲーム。現役最多61試合目の登板を「この雰囲気を味わえるのも最後。噛み締めてマウンドに立った」。この試合、2回に柴田颯(札幌第一高)の先制ソロで主導権を握ると、3回には宮崎仁斗(大阪桐蔭高)と山田健太(大阪桐蔭高)が適時打を放ち、すべて2年生が打点を挙げた。

 4対0で迎えた9回表。二死三塁から主将・宮慎太朗(4年・市船橋高)の左越え適時二塁打で、決定的な追加点を挙げた。

「(宮は)新チームから苦しい思いをしてきた。結果がついてきたので、自分のことのようにうれしかった」(中川)

 試合後、主将・宮は感極まって涙を流した。中川と「優勝経験」を残すことはできなかったが、後輩たちは、最上級生の意地を見た。

 溝口監督は言った。「来年につなげてほしい」。言うまでもなく、3年生以下はやるべきことは分かっている。

文=岡本朋祐 写真=齋藤豊
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