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法大・青木久典監督が退任。ロッテ1位・鈴木昭汰が口にした“感謝”

 

母校を率いて6年


法大・青木久典監督(写真左)は今秋限りで任期満了により退任する。ロッテからドラフト1位指名を受けた左腕・鈴木昭汰は、4年間の「感謝」を口にした


 10月26日、ロッテからドラフト1位指名を受けた法大・鈴木昭汰(4年・常総学院高)は、立大2回戦(11月1日)で8回から5番手で救援した。2回1失点。チームは0対5で立大に連敗、5位に終わった。試合後、神宮ラスト登板について問われるとこう話した。

「ここまで4年間、やってこられたのは、いろいろな方の支えがあったからこそ。感謝を込めて投げました」

 最も支えとなったのは、誰なのか?

 鈴木は「監督です」と即答した。母校を6年率い、任期満了により、今秋限りで退任する青木久典監督だ。

「4年間、ここまで成長してこられたのは監督のおかげです。具体的には? いろいろありすぎて……」

 鈴木は常総学院高で3度の甲子園に出場。2年春、3年夏に8強進出と、プロ注目左腕としてドラフト候補にも挙がった。さらなるレベルアップを目指し大学進学。しかし、法大では苦しんだ。2年秋までにリーグ戦登板は1年秋の3試合のみ(0勝0敗、防御率7.71)。

「大学入学時はむこう気が強くて、言うことを聞かなかった(苦笑)。東京六大学のレベルを痛感しながら、3年以降は『このままではまずい』と芯が通ってきて、やるべきことをやってくれた。コロナ期間中も実家でトレーニングを積み、たくましくなって戻ってきた。周りに目を配れるようにもなった」(青木監督)

 楽天から2位指名を受けた右腕・高田孝一(平塚学園高)についても、4年間の成長を問われると「優等生で、どんなときも良い自分を演じないといけないと、大変だったと思う。高田もコロナ期間中は母校で体を動かし、驚くようなボールで帰ってきた。私としても教えることはない」と、学生への思いを語った。

熱血指導がポリシー


 青木監督は、法大では侍ジャパントップチームを率いる稲葉篤紀監督と同級生。大学卒業後は社会人野球のたくぎん、本田技研鈴鹿、ワンワード貿易で内野手として現役を続けた。引退後は富士大でコーチ、監督を歴任し、2009年の大学選手権決勝では法大と対戦して準優勝に輝いた。14年1月に法大助監督に就任すると、15年春から監督として18年秋、今春と2度のリーグ優勝へと導いている。

「いろいろ大変なこともあったので、しんどかった。人間的にも勉強、成長させてもらった」。昨春は不祥事による謹慎処分で指揮を執ることができず、同秋に復帰。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた活動自粛期間など、厳しい期間を乗り越え、8月開催の春季リーグ戦では、総当たり1試合のリーグ戦を4勝1敗で制した。グラウンドでは常に学生に目を向け、自ら動く熱血指導がポリシーだった。

「法政に入ってくるエリート集団と他の5大学との6校で、すばらしい野球をやらせてもらったことは財産です。6年間ありがとうございました。スカウティングしてきた選手も残っているので、優勝回数46から、47、48回と増やしてもらいたい。期待を込めたいです」

 選手のポテンシャルからすれば、この秋の「5位」はやはり、不本意だろう。3年生以下には、投手だけでも右腕の三浦銀二(福岡大大濠高)、古屋敷匠眞(八戸工大一高)、左腕の山下輝(木更津総合高)、平元銀次郎(広陵高)と、高校時代から実績十分の名前が並ぶ。

 青木監督が育成した学生たちが2021年春、どのような形で「恩返し」していくのか――。教え子たちの活躍が、前指揮官としても、最大の喜びである。

文=岡本朋祐 写真=齋藤豊
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