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セ・リーグ6球団「今季の投手MVP」は誰?

 

広島東洋カープ



 広島では、もちろんルーキーながら2ケタ勝利をマークしている森下暢仁だ。大瀬良大地、ジョンソン、終盤には野村祐輔と、実績のある主力投手たちが次々と戦列離脱する中、ほぼ1年間、先発ローテーションを守り切った。8月14日の阪神戦(京セラドーム)では先発全員の12三振を奪い、二塁も踏ませず無死四球完封勝利をマークするなど、その安定感は群を抜く。11月1日の中日戦(ナゴヤドーム)で、明大の先輩である柳裕也に堂々と投げ勝ち、2ケタ勝利にも到達。目標としている新人王を大きく引き寄せたばかりでなく、最優秀防御率のタイトル争いでもトップの大野雄大(中日)に肉薄し、可能性がふくらんできた。

読売ジャイアンツ



 エース・菅野智之が「投手」どころかセ・リーグ全体でもMVP筆頭候補と言えるだろう。NPB記録となる開幕投手からの13連勝を達成。その後、2連敗を喫したものの、優勝決定翌日の10月31日のヤクルト戦(東京ドーム)で今季14勝目を挙げた。これで貯金は12。最多勝のタイトルはほぼ確実で、防御率、奪三振でもトップ5に名を連ねる。投手3冠も狙える位置にいるが、11月21日からの日本シリーズを最優先し、翌11月1日に登録を抹消された。過去2度、日本シリーズ出場のある菅野だが、日本一だけはまだ手にしていないだけに「絶対に取りたい」と早くも気持ちは日本最高峰の舞台に向かっている。

中日ドラゴンズ


中日・大野雄大


 誰が見ても中日は大野雄大で決まりだ。19試合に投げて10勝6敗の成績はまずまずながら、圧巻なのは10勝のうち6完封であり、1.91という防御率だ。10月29日の阪神戦(甲子園)の初回で失点し、連続イニング無失点は45で止まったが、ここまでの内容はチームだけでなく、12球団を通してもトップレベルではないか。10完投の数字は飛び抜けている。2年連続となる防御率、初めてとなる奪三振の2冠は射程圏内。ただ、大野雄に残された大きな仕事はチームを8年ぶりのAクラスに導くこと。残り試合も少ない中、1勝でも多く勝ち星を挙げたい。

阪神タイガース


阪神・スアレス


 11勝5敗の西勇輝、10勝3敗の秋山拓巳とそれぞれ大きな貯金を生み出している先発2人もMVP候補だが、24セーブを挙げ、トップを走るロベルト・スアレス。彼がいなかったら阪神の投手陣、とくにリリーバーは崩壊していたかもしれない。開幕当初、クローザーは藤川球児。セットアッパーにはエドワーズが入ると思われていた。しかし2人とも調整不良で開幕を迎えた。そこですい星のごとく現れて結果を残したのが、ソフトバンクから加入したスアレスだった。160キロに迫る真っすぐを中心に打者を圧倒。クローザーの座をつかむと安定感抜群の投球で中継ぎ陣に安定感をもたらした。まさしく投手陣MVPはこの男だ。

横浜DeNAベイスターズ



 2年目の右腕、大貫晋一が大きな飛躍を遂げた。開幕先発ローテーションを逃し、初登板は7月に入ってからだった。いきなり2敗を喫したが、初回KOの阪神戦(7月10日、甲子園)の4日後に先発した中日戦(ナゴヤドーム)は、8回2失点の好投で今季初白星を挙げると波に乗った。ツーシーム、カットボール、スプリットを自在に操り、打たせて取る投球で勝ち星を重ねた。同級生のエース・今永昇太や、平良拳太郎がケガで離脱する中、孤軍奮闘。9月5日の広島戦(マツダ広島)では初完投勝利を飾った。10月27日の巨人戦(横浜)では6回2失点で10勝目。文句なしの投手MVPだろう。

東京ヤクルトスワローズ


ヤクルト・小川泰弘


 チームトップの47試合に登板し、絶対的セットアッパーとなった清水昇や、抜群の安定感を誇る石山泰稚など、リリーフ陣にもMVP級の活躍をした投手はいるが、やはり小川泰弘が一番だろう。8月15日のDeNA戦(横浜)では、プロ野球82人目93度目のノーヒットノーランを達成した。規定投球回数に到達しているのも、開幕先発ローテーションを守り切ったと言えるのも小川だけ。先発投手が初回から崩れることが多かった今季、最も安定したピッチングで勝ち頭となる10勝を挙げた。自身5年ぶりの2ケタ勝利となり、“エース”の称号を取り戻している。

写真=BBM
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