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【MLB】アンドリュー・フリードマンが語る成功の秘訣

 

レイズ、ドジャースで4度のワールド・シリーズ進出を果たしているドジャースのフリードマンGM。その成功の秘訣は最良の環境を用意し、正しい文化を育むことだ


 ドジャースの編成本部長、43歳のアンドリュー・フリードマンは現在、MLBで最高のGMだろう。万年最下位だったレイズを2006年シーズンから9年間で低予算のままア・リーグ東地区の強豪に変え、ワールド・シリーズ出場1度、14年10月にドジャースに移ってからは毎年地区優勝、ワールド・シリーズ出場3度である。

 古巣との対決となった今回のワールド・シリーズについて、シリーズ前に「レイズにいたとても仲の良い友だちが、自分が去るときに、いつかワールド・シリーズで対戦すると話していた。その通りになった、現実離れした感じ」と喜びを口にしていた。

 彼は成功の秘訣をこう説明した。「選手がプレーしやすいように、最良の環境を用意し、正しい文化を育むこと。それはどんな業種でも同じ。良い状況に置けば良いプレーができる。大事なのは偽りのない会話。常にメッセージを届けて、みんなが同じページにいられること。もちろん意見が食い違うこともあるが、そういう精神風土が大事」。

 ドジャースとレイズはサラリー総額がまったく違う。短縮シーズンの今季ドジャースは1億790万ドルと30球団で2番目に高く、レイズは2830万ドルで28番目だ。とはいえチーム作りの根本は変わらないそうだ。「お金で順位は決まらない。それが事実であることは毎年証明されている。才能ある選手を集め、選手層を厚くすることが成功の鍵。投手ならいろんな武器を持っていて、それを試合で生かせること。打者についてはボール球に手を出さず、ストライクゾーンの球にはアグレッシブでダメージを与えられる(長打を打てる)こと。プラス守備、走塁など違うことをたくさんできる人」と話す。

 メンタル面も重視する。「選手の性質や性分についてもリサーチする。練習熱心かどうか、うちのチームにどれくらいなじむかを考える。とはいえその選手がうまく行かなかったとしても、責任を選手に押し付けない。問題はその選手をうまく受け入れられず、力を生かせなかったチームにある。そこはさらに改善していくべき点で、よりよい環境、文化を育んでいく」と言う。

 筆者は前田健太投手が在籍した16年から19年はドジャースを取材することが多かったし、20年は筒香嘉智選手が在籍しているから、レイズをたくさん見た。確かに共通点を感じる。

「野球界の人は常に成長しようとする。私もドジャースに来て6年間でいろいろと学んだし、レイズの人たちも同じだろう。ただ彼らがどう考えるかを私はある程度知っているし、彼らも同じ。私はレイズのケビン・キャッシュ監督と一緒だったことはないが、選手を成功できるポジションに置く良い仕事をしている」と指摘する。

 ちなみにレイズのエリック・ニーアンダーGMはフリードマン時代にインターンとして球団に入り、そこから実績を積み重ねた。フリードマンがレイズのGMになったのは20代後半。「当時は、働きながらみんなで一緒に成長した。結婚式があったり、子どもが生まれたりして、お互いに祝福し合った。そんな中であのア・リーグ東地区で好成績を残せた。本当に良い思い出」。

 かつての仲間がワールド・シリーズで相まみえる。至福の時だっただろう。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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