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川口和久WEBコラム

西日のいたずら/川口和久WEBコラム

 

好投の石川が打ち込まれた理由は


ソフトバンクベンチ。まぶしそう


 ちょっとしたことが、試合の流れを変え、場合にとってはペナントレースの行方も左右する。
 あの西日もそうだったのかもしれない……。

 11月3日、文化の日。今年最後のラジオ解説(RKB福岡)の仕事で、ZOZOマリンに行った。
 ロッテ対ソフトバンク戦だ。ソフトバンクはすでに独走で優勝を決めており、メンバーを落としてもいいところだが、パにはCSが残っている。
 この時点で2位のロッテは眼下の敵だ。苦手意識もあっただけに、たたいておきたい気持ちもあるだろう。抜いた戦いは、できない試合だった。
 先発はファーム落ちしていたバンデンハーク。一軍では7月以来の登板だ。

 これはCS、さらに日本シリーズに向けての見極めだろう。ソフトバンクにはモイネロ森唯斗という最強の2人が最後に控えている。中継ぎ陣も豊富だし、先発も千賀滉大東浜巨和田毅が万全。ただ、日本シリーズが長引けば、コマが足りなくなる可能性もある。さらなる、もう1枚の先発の準備だろう。いや、贅沢なチームだね。
 ただ、実際、短期決戦は1つ歯車が狂うと、どうなるか分からない。

 ロッテは先発に石川歩を立てた。まさにCS第1戦への前哨戦だね。
 石川は、素直な真っすぐがほとんどなく、ツーシーム、カットボール、チェンジアップなどでホークス打線を翻弄。いい布石を打ったかと思えた。

 しかし、5回、ロッテの攻撃だった。中村奨吾清田育宏と連続三振の後、左の菅野剛士の打席。審判が何やら話し合いを始め、その後、ソフトバンクの工藤公康監督が選手を引き揚げさせた。
 何が起こったのか、と思ったら、西日が目に入って球が見えないという。

 まさに今年のシーズンだからこそのハプニングだ。普通なら日本シリーズが終わっている時期だし、最近の日本シリーズはナイターでやっているから、この時期、一軍のデーゲームはまずない。
 昔、ヘビが電線で感電して停電したり、クモ男がフェンスを登っての中断は覚えているが、西日で中断なんて記憶にない。
 試合再開まで30分くらいはあったが、石川がここで一気に崩れ、逆転された。

 大変だったと思うよ。雨なら何となく計算できても、西日で中断となると、いつ再開できるか予想もつかんだろうしね。
 しかも、この試合ロッテが敗れ、西武日本ハムに勝ったことで、2チームが2位に並び、4日には同じように勝ち負けで、西武が一気に有利になった。

 まさに西日のいたずらだね。

写真=BBM
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