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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

オリックスのドラ1左腕・宮城大弥が一軍登板で増した思い

 

ファームで13試合に登板し6勝を挙げている宮城大弥。一軍デビューも果たし、心は静かに燃え始めた


 また1人、オリックスに楽しみな投手が現れている。山岡泰輔山本由伸を筆頭に、若手投手陣が続々と台頭。近い将来“投手王国”の誕生を予感させるのは、19歳ながら一軍デビューを果たした左腕の存在も大きい。その左腕とは今季のドラ1・宮城大弥だ。

 興南高では1年夏から甲子園のマウンドを経験し、3年時には日本代表としてU-18W杯に出場。世代屈指の左腕として名を馳せてきた男は、プロ入り後に最速が153キロまで伸び、新球・フォークを習得と着実に成長を遂げている。さらに技術向上を支える確かな意識も、この男の武器だ。

 例えば投球プレートを踏む位置。打者の左右に応じて一、三塁側を踏み変えている。聞けば「今年の8、9月くらいから」とプロ入り後に取り組んだことだという。

「もともと一塁側だったんですが、左打者の内角が投げにくくて。投げるときにインステップしてしまうので、左(打者)の内角が小さく感じて外(角)にしか投げられなかったんです。そこで、アルバースの投球を参考にして。右打者ならクロスファイアーでインコースを突けるように、一塁側を踏んで、左打者ならインコースを投げやすくするために三塁側を踏もう、と。そうすれば、どちらでも投げられる」

 テンポの良い投球も持ち味だが「テンポを意識し過ぎてもダメだなとも思っています。ランナーがいるときは特に。投げ急いでしまうとワンテンポになって単調になることもある。でも『守備短く、攻撃長く』がチームにとっていい形なので、理想に近づけるため、テンポを意識し過ぎない程度に心掛けているんです」ときっぱり。

 新たにフォークを覚えた理由も空振りを奪うのが目的ではなく「投球の幅が広がるかな、と。フォークを投げることで、ほかの球種で打ち損じることもあるだろうなと思って覚えようと思ったんです」と、1つひとつに明確な意味を持つ。

 大人な考えを持ちながら、まだ19歳──。佐々木朗希ロッテ)、奥川恭伸ヤクルト)ら同世代の投手への対抗心があるかと聞けば「全然、実力が下なので」とそっけない。ただ、いつかは世代トップへ──という野心を抱きながらも、語気を強めた言葉が頼もしい。

「個人じゃないんです。『チームだ』って思いが今は強いんです」

 10月4日の楽天戦(京セラドーム)で一軍デビュー。5回2失点で勝敗つかず、二度目の一軍マウンドに立った同18日の西武戦(メットライフ)では6回3失点で負け投手と、いずれも試合をつくるも白星をつかめなかった。そんな2試合を経て増した「勝ちたい」思いは個人ではなく“チーム”としてだ。

「ベンチの雰囲気を感じて、そう思ったんです。みんなで勝って喜びたい、って」

 チームが勝つために──。それは山岡、山本も常に口にすることだ。一軍マウンドを経験し、増した思いが左腕をさらに成長させるはず。6年連続Bクラス、2年連続の最下位と低迷が続くも、チームの未来は明るい。19歳左腕の大人な投球と熱い心が、そう思わせる。

文=鶴田成秀 写真=BBM

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