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部員はわずか4人…少数精鋭で歴史をつないでいく青学大応援団

 

心の奥底から送るエール


青山学院大学応援団は4人で活動している。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、球場応援はマスク着用で、発声もできない


 部員4人。規模は小さくても、大学への思いは、とてつもなく大きい。

 11月4日、東都大学二部リーグ。青学大は二部優勝へ王手をかけた拓大1回戦を、延長11回タイブレークの末に落とした(4対6)。この日、等々力球場は各校100人以内の関係者の入場が認められ、青学大応援団は一塁側スタンドで、エールを送った。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、発声は禁止。できるのは、リーダーの「型」だけ。同球場は太鼓の使用が許されたが、試合会場によっては動くことが禁じられ、席に座ったまま拍手するのみ、という制限下で行われた。

 学年の内訳は4年生1人、3年生2人、2年生1人。唯一の幹部(最上級生)である尾野本大輝団長は鎌倉高時代、野球部に在籍した。「少しでも野球につながっていたかった」と応援団に入るも、入学以降、東都一部で応援できなかった。つまり、晴れ舞台である神宮球場のリーダー台に立つことができなかった。この秋は二部優勝校が一部へ自動昇格する。学生ラストシーズンは後輩3人への引き継ぎ、燃え尽きるまで野球部とともに戦っている。

「神宮球場に一番近い大学が、応援できないなんて、あってはならないことです。先輩からは井口さん(資仁、現ロッテ監督)、石川さん(雅規、現ヤクルト)の黄金時代の話を聞かされてきました。学ラン姿で太鼓を担いで、神宮から学校まで青山通りを走る。一度は経験したかった。後輩に託すしかないです」

 悩みは部員不足である。4月以降、リモート授業が続いており、新入部員の勧誘が難しい。

「応援は実際に足を運んでみて、体験してみないと、分からいもの。オンラインで募集していますが、なかなか熱量が伝わらない」

 11月1日の全日本大学駅伝もオンラインでの応援。正月の風物詩である箱根駅伝も、沿道での応援活動はできない。「4年生にとっては箱根が一区切り。代替わりとなるんですが、できる範囲内で全力を尽くします」(尾野本団長)。野球応援は団活動の主体であり「一部へ昇格すれば、勧誘にもつながる」と、シーズン最終戦の拓大2回戦(11月5日)でも、心の奥底からエールを送り続ける(第1試合で優勝の可能性を残していた日大が専大2回戦で敗退し、第3試合に青学大が組まれていた拓大2回戦を前に二部優勝が決定)。

 2年生・我妻実玲は女子団員だ。このままいけば、2年後には同応援団初の女子団長が誕生するという。尾野本団長は「高校時代はチアリーダー。自ら志を持って、入団してきた。素質があるので、期待しています」と語る。1953年「応援有志会」として発足した青学大応援団。「信と愛と正義の学院精神」をモットーに、少数精鋭で歴史をつないでいく。

文=岡本朋祐 写真=大賀章好
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