ソフトバンクに相性が良い美馬
ロッテが11月8日の
西武戦(ZOZOマリン)で西武に逆転勝利を飾り、2位でクライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。今季はソフトバンクと激しい首位争いを演じたが、10月に8勝17敗と大きく失速。18、19年とリーグ連覇した西武が猛追し、熾烈な2位争いが繰り広げられた。西武の勢いが上回るかと思われたが、今年のロッテはしぶとい。8日の直接対決。先発の
小島和哉が2回に2点を失うと、
井口資仁監督は3回から迷わず継投策に切り替えた。
小野郁、
岩下大輝、
東條大樹、
唐川侑己、
ハーマン、
澤村拓一、
益田直也と7投手が無失点に抑えると、打線も
藤岡裕大が4回に勝ち越し弾を放つなど計8得点を奪い、鮮やかな逆転勝ち。今年のロッテは逆転勝利がリーグトップタイの31試合とまさにシーズンを象徴するような白星だった。
CSは今月14日からソフトバンクの本拠地・PayPayドームで戦い、先に3勝したチームが日本シリーズに進出する。ソフトバンクに1勝のアドバンテージが与えられるため絶対的に有利だ。ただ、ソフトバンクからすれば西武よりロッテのほうがやりにくいかもしれない。直接対決ではロッテが相性の良さを見せているからだ。昨季は16勝8敗1分、今季も12勝11敗1分と勝ち越している。
カギを握るのは初戦の先発が予想される
美馬学。
楽天からFA移籍した今季はチームトップの10勝をマーク。ソフトバンクに7試合登板で5勝1敗、防御率2.70とキラーぶりを発揮している。走者を出しても粘り強い投球で点を許さないのが美馬の真骨頂。
柳田悠岐に今季打率.364と打ち込まれているが、0本塁打と長打を許していない。CSもピンチの場面でなければ、「柳田は単打ならいい」と割り切った投球術で良いだろう。
要警戒は今季50盗塁で盗塁王に輝いた
周東佑京。対戦打率.353と高い確率で出塁を許している。周東を塁に出すと盗塁を警戒しなければいけないため、打者への集中力が削がれる。単打OKの柳田と違い、絶対に出塁させたくない。先発陣は
二木康太もソフトバンク戦で3勝0敗、防御率3.20と安定した投球を見せている。二木に良い形につなげるためにも美馬の投球が命運を握っている。

粗さはあるが打線に活気を与えている藤原
打線のキーマンは
藤原恭大だ。
安田尚憲、
井上晴哉、
中村奨吾ら主軸がシーズン終盤に打撃不振で苦しむ中、10月6日に一軍昇格するとリードオフマンとして奮闘。今月7日の
オリックス戦(ZOZOマリン)では右翼席に弾丸ライナーの逆転3ランを放ち、勝利に大きく貢献した。ロッテは今季ソフトバンク戦に勝ち越したが、勝負どころの10月以降の直接対決では7連敗を喫した。7試合で計8得点と貧打が敗因になっただけに、シンデレラボーイが打線の起爆剤になれるか。
試合中盤まで接戦に持ち込めば、救援陣はソフトバンクに見劣りしない。セットアッパーの唐川、ハーマン、澤村から守護神・益田につなぐ勝利の方程式が確立している。ロッテは失うものがなく、短期決戦に強いデータも心理的に優位に働く。もう一波乱起こせるか。
写真=BBM