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あの名打者も届かなかった…巨人生え抜き2000安打の偉大さ

 

通算1753安打に終わった高橋由


 巨人坂本勇人が11月8日のヤクルト戦(東京ドーム)で通算2000安打に到達。31歳10カ月での達成は、榎本喜八が記録した31歳7カ月に次ぐ史上2番目の年少記録となった。また、巨人の生え抜き選手としてはこれで通算6人目。今回は、この「巨人生え抜き2000安打」にフォーカスしてみた。

川上哲治から始まる巨人生え抜き2000安打戦士の歴史


坂本を上回る1708試合で2000安打に達した長嶋


 先述のように、巨人の生え抜き選手で通算2000安打を記録したのは坂本を含めて6人。過去には、川上哲治(2351安打)、長嶋茂雄(2471安打)、王貞治(2786安打)、柴田勲(2018安打)、阿部慎之助(2132安打)と、そうそうたるメンツが達成している。特に川上の記録は日本プロ野球史上初という快挙で、通算1646試合目での到達だった。

 川上の達成から15年後の1971年には、長嶋茂雄が2000本に到達。通算1708試合目での達成は今なお破られていない右打者での最速記録だ。史上2番目の若さで到達した坂本でも1783試合目なので、長嶋の達成スピードは恐るべきものだった。その長嶋が現役を引退する1974年には王が2000安打を記録。柴田勲も36歳になった1980年に達成している。

 柴田以降では、落合博満清原和博などが巨人在籍時に2000を記録しているが、生え抜き選手での達成は2017年の阿部慎之助までなんと37年間も出なかった。今回の坂本は阿部からそこまで期間は空かなかったが、2000安打は容易なものではないのだ。

天才打者も大台には届かず


天才的なバットコントロールを発揮した篠塚も2000安打に届かなかった


 過去には数々の名選手が2000安打に届かず現役を引退している。巨人生え抜きの選手にも同様のケースは多い。例えば天才と称された高橋由伸だ。1998年に巨人を逆指名して入団した高橋は、1年目からレギュラーに定着し、打率.300、19本塁打、75打点と驚異的な活躍を見せる。残念ながら新人王獲得とはならなかったが、巨人の将来を任せるにふさわしい逸材が登場したと大いに注目された。その後も高橋は期待どおりに主力として活躍し続けたが、2000年代半ば以降はケガの影響で満足にプレーできなくなり、2015年に現役を引退。通算安打は1753安打(巨人生え抜きでは歴代7位)だった。

 篠塚和典(利夫)も天才的な打撃センスを持つ選手だったが、高橋と同様に2000安打には届かなかった巨人の生え抜き選手だ。球界屈指のバットコントロール技術を持つ選手で、現役時代は2度の首位打者を獲得。9年連続で100安打以上を記録するなど目立った数字を残していたが、腰痛の悪化のため調子を落とし、プレー機会が激減。1994年に通算1696安打(巨人生え抜きでは歴代8位)で引退となった。

 ほかにも、現在チームを率いる原辰徳は巨人生え抜きでは歴代9位の1675安打。松井秀喜は日米通算では2000安打を記録したが、巨人時代だけで見ると1390安打(それでも巨人生え抜きでは歴代12位)。もしメジャーに挑戦せずに巨人にとどまったとしたら、柴田に次いで巨人史上5人目の2000安打達成者になっていたかもしれない。

 このように、高橋や篠塚といった天才と呼ばれた選手も、ケガや持病に苦しみ、結局2000安打に届かなかった。坂本が達成した2000安打はそれだけ難しく、偉大な記録なのだ。次は巨人生え抜きでは誰も成し遂げていない3000安打に期待したいところだが、果たしてどこまで成績を伸ばすのか、坂本のこれからに注目したい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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