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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

走塁と投手にテコ入れ。来季の広島は競り合いでの強さを取り戻せるか?

 

河田ヘッドの入閣がプラスに


堂林翔太がチームトップの17盗塁するなど、一部の選手はよく走ったが……


 今季、5年ぶりの負け越しで5位に沈んだ広島の、来季に向けた新スタッフが発表された。全体の構成人数は変わらないが、新任コーチが1人おり、いくつか担当の入れ替わりがある。河田雄祐氏がヘッドコーチとして入閣、ヘッドだった高信二コーチが、水本勝己前二軍監督退任の後を受けて二軍監督に回る。守備走塁コーチは、玉木朋孝コーチが一軍へ、山田和利コーチが二軍へという入れ替わりがあった。投手コーチは、永川勝浩コーチが二軍から一軍に上がり、一軍コーチだった澤崎俊和コーチは投手育成強化コーチに。投手コーチ強化担当だった小林幹英コーチが二軍投手コーチに、という入れ替えがあった。これを見ると、チームが来季改善すべきポイントを、まず機動力と投手力と判断したことがうかがえる。

 カープといえば、「投手を中心とした守りの野球」が継承され、そこに機動力を絡めて、相手からすると嫌らしい攻撃で接戦をものにしていくのが、伝統のチームカラーだった。今季、就任した佐々岡真司監督も、そこにベースを置き、その上に長打力をプラスしたい、ということを掲げていたが、実際には、今季の広島はそういう野球を展開できなかった。今までカープにあった、「競り合いに強いチーム」というイメージは、今季に関しては失われたと言っていい。

 今季のカープは、競り合いに弱かった。1点差試合に9勝13敗、2点差でも8勝9敗と負け越し。得点差2点以内の試合では、対阪神、対中日、対DeNAでそれぞれ3つずつ負け越した。この辺はリリーフ投手の差というファクターが間違いなくあるだろう。そして攻撃面でも、機動力を生かして競り勝ち、というゲームは、多く見ることはできなかった。

 そこを取り戻していくための第一歩が、今回の河田ヘッドコーチの入閣だ。同氏は、2016〜17年の連覇時に守備・走塁コーチを務め、機動力野球を推進した人物。現在の主力選手とも距離が近く、チームに走塁への意識と「嫌らしい攻撃」をよみがえらせるにはうってつけだ。今季の広島は、堂林翔太、鈴木誠也あたりは相手投手次第で積極的に盗塁を仕掛けていたが、それ以外の選手は塁に出てもあまり動きが見られなかった。手術明けだったり、コンディションの問題もあり、田中広輔菊池涼介西川龍馬あたりの、これまで機動力を使ってきたメンバーも、あまり相手にプレッシャーをかけられなかったと言っていい。

 ただ一方で、若手では宇草孔基大盛穂といった足が使える選手が出てきており、ベンチには曽根海成野間峻祥上本崇司もいる。河田コーチを中心に、チーム全体でもう一度、走塁への意識を取り戻していけば、来季の機動力野球の復活は十分可能だ。

 投手に関しても、今季はまず前半の抑え投手の選定の失敗があったし、過密日程への対応で大事に使おうということはあったのだろうが、救援投手の起用でも、その日に投げられる投手とその日のゲーム展開のすり合わせがかみ合わないケースは少なからずあった。そしてシーズン後半には先発要員も相次ぎ戦列離脱。投手コーチを入れ替えたからといって、来季に劇的に状況が変わる保証はないが、少なくとも今季と同じ形で押すのではなく、変化を求めたというのはうなずけるところだ。

長打力不足も解消へ


 そして、走塁と投手以外に、テコ入れされたポイントがもう一つある。長打力不足だ。実は今季の広島の本塁打数110はリーグ4位タイ。あまりレギュラーは固定されていないとはいえ、15本以上ホームランを打っているのは、25本の鈴木誠也ただ一人だった。チームはこのオフ、さっそく新外国人のケビン・クロン内野手(前ダイヤモンドバックス)を補強。19年には3Aで38本塁打を放った実績があるので、日本でもある程度のホームラン数は見込めそうだ。ファーストとサードを守れるので、松山竜平、堂林翔太と、コンディションを見ながら3人で2ポジションをまかなう形が作れれば攻撃の厚みは増す。

 今季は5位に沈んだが、上位チームとの戦力差はそれほど大きいものではないはず。機動力、投手力、そして長打力と、的確なポイントでテコ入れがなされ、競り合いを多くモノにすることができれば、来季、カープがV戦線へ浮上することは決して現実味のない話ではないと思うがどうだろうか。

文=藤本泰祐 写真=BBM

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