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開幕投手は130分の1なのか?/週べ回顧1972年編

 

 一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

開幕投手を外され引退したメジャー・リーガー


すでに退団していた石戸


 今回は『1972年4月17日号』。定価は100円。

 昔も今も、開幕が近付くといつも話題になるのが「開幕投手」が誰か、だ。
 ただ、巨人川上哲治監督は言う。
「関係ありませんな。だって巨人は7連覇中、開幕日に6連敗。要するに開幕日は130分の1という意味です」
 それでも多くの投手、そして首脳陣にとって決して130試合(当時)の1ではない。何とか物にしようと、さまざまな駆け引きを仕掛ける。
 ここでは、日米の逸話を1つずつ紹介する。

 1969年のアトムズ(ヤクルト)。68年、球団史上2人目の20勝投手となった石戸四六が開幕投手の有力候補と言われ、実際、開幕前日、軽く50球を投げると、
「サムライは出陣前に酒を飲んだそうだ。その心境が分かるな」
 と思わせぶりな発言をした。
記者の一人が「河村(河村保彦)君、という見方もあるけど」と聞くと、
「あの人、心臓に毛が生えてないもの」
 と一蹴。しかし、翌日投げたのは河村。実は、石戸も首脳陣に騙されていたらしい。

 メジャーでの当時の連続開幕投手記録はワシントン・セネタースのウォルター・ジョンソンで14年連続だった。新聞記者がジョンソンに「あなたの生きがいは」と尋ねると、こう答えたという。
「開幕日の第1球にストレートを決めることだ。俺のストレートを打てるのか、と」
 しかし、開幕投手15年目を迎えるシーズンの開幕前日、ジョンソンは監督に呼ばれた。
「言いにくいが、あすの先発は若いヤツに譲ってくれないか」
 ジョンソンは黙ってうなずいた。心の中で、
「俺の時代は終わった」
 とつぶやき、同年限りで引退。のちの阪急の山田久志によく似た逸話ではある。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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