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長嶋茂雄は言う「シングルプレーヤーはいつもボギーペースでまとめるんですよ」/週べ回顧1972年編

 

 一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

土台となった開幕戦の4三振



 今回は『1972年4月17日号』。定価は100円。

 1972年の開幕間近。左わき腹痛が心配されていた巨人・長嶋茂雄だが、開幕1週間前の4月2日、ロッテとのオープン戦では木樽正明相手に2打席凡退後、逆転満塁弾を放って、首脳陣。ファンを安心させた。
「同じ相手に3度やられちゃ、みっともないということですよ。シングルプレーヤーはいつでもボギーペースでまとめるんですよ」
 とゴルフにたとえ笑顔を見せたミスターだった。

 長嶋にとって、15度目の開幕戦になる。印象深い年を尋ねると、やはり58年、国鉄との戦いを挙げた。新人・長嶋が金田正一に4打席連続三振を喫した試合だ。
「マウンドのカネさんはすごく大きく見えた。たしかバットにかすったのは、あとのほうのファウルチップ1個だけだったかな。当時のカネさんのタマ、速かったもの。こっちはいくら振っても、バットにかすりもしないのには参った。
 口惜しかったさ。そりゃもう、最後のころなんか、カッカと頭に血ばかりのぼって夢中だったんですよ。しかし、いま考えてみると、あれほどいい三振というのもなかった。あれほど生きた三振というものもなかった。僕のバットマン生活の土台はあの4三振でつくられたんですからね。
 人間ミスしたときほど、本当の勉強というものはできる。僕も、あのカネさんとの出会いでこっぴどくやっつけられ、あれで本当の土台ができた。いまの若い人たちにも、失敗を恐れず、どんどん目標に向かって突き進め、と言いたいですね」
 今の巨人に聞かせたい言葉でもある。

 ヤクルトの新主将・武上四郎と落語家・桂伸治の対談で、70年に別所毅彦監督が途中解任となった際、プロ4年目の武上に監督就任の話が舞い込んだときの話が出ていた。
「今、考えてみれば引き受けなくてよかったなと思いますけどね。やっていたら今ごろ野球やってないでしょう」
 と話した武上。断った後、1つ困ったことがあったという。
「選手との間が1つ開いたというか、へだたりができましてね。その溝を埋めるのに苦労しましたね。要するにいくいくは管理職という裏付けがあるんだから、ということになってね。そういう人間と話したりすると、特殊な関係になったらいかんという空気があって、それを打破するのに苦労したんですよ」

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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