週刊ベースボールONLINE

編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

ヤクルト広報部の「思いやり」を感じた1年/編集部員コラム

 

ヤクルトの本拠地・神宮球場


 シーズンも終わり、新入団選手発表やファン感謝デーも終了した。ヤクルト担当1年目。全員と一度以上は会話をするぞと意気込んで迎えたはずだったが、新型コロナウイルスの影響で、対面取材ができたのは3月までだったか。

 そんな感染防止のためのさまざまな制約の中で、何とかメディアの取材に応えようとしてくれたのが、球団広報の方たちだ。オンライン会議ツールなどを駆使しての試合前、試合後取材の場を設け、個別インタビューがあれば同ツールや電話取材などで対応してくれた。中でも非常に助かったのが、グラブ特集と、変化球特集のときだ。

 それまで、村上宗隆長谷川宙輝らのインタビューを行っていたが、すべて電話取材だった。しかし、グラブ特集や変化球特集の際は、道具そのものや変化球の握りなどを見せてもらいながら話を聞きたい。書き手がうまくイメージできずに、選手に説明してもらったものと異なる記事を世に出してはならない。電話でどう聞こうかと思案していたところ、球団広報部の加来広宣さんが「今回は、Zoomでやりましょうか」と提案してくれたのだ。おかげで、青木宣親にはこだわりのグラブを、小川泰弘にはカットボールの握りを見せてもらいながら、細かく話を聞くことができた。さらには道具、握りの写真まで加来さんが撮影して送ってくれ、ページでも使うことができたのだから、もう頭が上がらない。

 10月に行われた、五十嵐亮太石井弘寿コーチの“ロケットボーイズ”対談のときもそうだ。今年は選手に近づけないため、インタビュー用の撮影もままならない。選手とコーチ。2ショット写真はほとんどなく、もはや引退試合で狙うしかない……と覚悟していたが、これも2ショット写真を加来さんが撮影してくれた。この写真はインタビューページの一番最初、メーンカットとして使わせていただいた。本当に感謝の気持ちでいっぱいである。

 戦力外通告を受けた近藤一樹へ、現役続行の思いを聞きたい旨を伝えて取材をお願いしたときのこと。取材当日、近藤から聞いた言葉も印象的だった。「広報さんも、もう自由だから取材を受けていいよ、と。でも、これからのことを考えて、自分が不利になるようなことは言わないように気を付けて、と言われました」。近藤の今後を思っていなければ、そんな言葉は出ないだろう。そのほかにも、選手のことを思うエピソードはたくさんある。そして、時には言いにくいことも言い、選手の盾にもなるのだ。

 昨日、ファン感謝デーの際に、『週刊ベースボール』の年末恒例特集・シーズン展望号の読者プレゼント用に、ある選手の実使用サイン入りグッズを受け取った。グッズを譲ってもらえるようお願いしたとき、「ファンが喜ぶような人選、アイテムを」と無茶を言ったが、そのときも加来さんは「誰がいいかなあ」と思案して、「考えます!」と快諾してくれた。

 こうした協力がなければ、今年の「週刊ベースボール」は成り立たなかった。新型コロナ禍の中、例年とほとんど変わらない形で選手の声を読者に届けられたのは、選手、そして広報さん方が真摯に向き合ってくれたからだ。インタビューもどんどんOKしてくれるものだから、「若手インタビュー連載? ならば濱田太貴を!」「勝利の方程式特集? ならば清水昇を!」と、編集部内で担当球団の選手を推薦することができたし、すべて取材でき、無事に本にすることができた。あまり表に出ることはないが、こうした「裏方さん」の活躍があることも読者の方に知ってほしく、今回このコラムを書かせていただいた。

 ちなみに、超豪華読者プレゼント付きの週刊ベースボール増刊1月22日号は、12月16日発売予定。譲っていただいたサイン入りグッズは誰のものなのか、ファンの皆さんにはその目で確かめてもらいたい。そして、ぜひ応募してください。

文=依田真衣子 写真=BBM;}
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング