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西武の“無敗セーブ王”増田達至がシーズン中に抱いていた危機感とは

 

今季、初のセーブ王に輝いた西武・増田


 西武にとって今オフ、最大の“補強”だったと言えるかもしれない。12月4日、増田達至が国内FA権を行使した上で残留することを表明した。今季は48試合に登板し、5勝0敗33セーブ、防御率2.02。1997年の横浜・佐々木主浩、2009年の日本ハム武田久と並ぶ史上3人目のシーズン無敗でセーブ王に輝いた。

「正直、無敗で終わるとは考えられなかったです。ただ、状態が悪いときも逆転されなかったという点は、自分の中では良かったと思います。やはり、後ろを任されているので、最悪同点までという考えはありますから」

 今季は11月3日の日本ハム戦(メットライフ)で通算136セーブに到達。豊田清投手コーチを抜いて球団トップに立った。「セーブ数だけを見ると球団1位になりましたが、内容を考えると、豊田さんと比べものにはならないと思っています」と本人は謙遜するが、増田が守護神として存在しているだけでチームに与える安心感は大きい。

 今季のチーム防御率は3年連続最下位となる4.28。しかし、先発陣はリーグ最悪の4.87だったが、リリーフ陣はリーグ3位の3.46。1点勝負を勝ち切る勝利の方程式を築けたから、2位に最大9ゲーム差をつけられながらシーズン最終盤でロッテと熾烈なクライマックスシリーズ進出争いをすることができた。それは、守護神に増田が君臨していたからこそだ。

 だが、平良海馬森脇亮介といった若きリリーバーの台頭に増田は安心感ではなく危機感を抱いていたという。「若い投手が出てきて、僕は1日1日必死に食らいついていました。あの2人がいい投球をして、いい流れでバトンを渡してくれる。自分が失敗したらポジションを取って代わられるかもしれないという思いがありました」。

 2年連続28セーブをマークし、不動の守護神として迎えた2018年、増田は開幕からエンジンがかからず二軍落ちを経験するなど役割を全うできなかった。チームは10年ぶりの優勝を飾りながら、自身はわずか14セーブ。消化不良に終わった悔しさは忘れることができない。

 西武に残留し、4年12億円の大型契約を結ぶ見込みだというが、増田なら慢心することなく、来季以降も守護神として輝いてくれるはずだ。

文=小林光男 写真=BBM
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