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日本シリーズではソフトバンクが圧倒…工藤監督と原監督はどちらが名将?

 

勝利数、勝率で川上監督を上回る


ソフトバンクを4年連続日本一に導いた工藤監督


 ソフトバンクが日本シリーズで巨人を相手に、2年連続となる4連勝と圧倒。4年連続日本一に輝き、圧倒的な強さで「球界の盟主」の地位を確立している。常勝軍団の指揮を振るうのが工藤公康監督。15年から監督就任し、6年間で3度のリーグ優勝、5度の日本一と輝かしい戦績を残している。一方、巨人の原辰徳監督も在任14年間で9度のリーグ優勝、3度の日本一に導き、今季は川上哲治元監督を抜いて球団史上歴代最多の1091勝を記録した。国際大会でも2009年のWBCで日本代表の監督を務めて世界一に。工藤監督と原監督のどちらが優れた名将か――甲乙つけ難いテーマになるだろう。

 工藤監督はリーグ優勝が3度、優勝を逃した3度のシーズンもいずれ2位と、就任以来3位以下になったことが一度もない。一方で投打ともに充実した戦力を擁していることから、V逸の年は批判の声が集中することも。16年は11.5ゲーム差を日本ハムにひっくり返されて2位に。18、19年も短期決戦を勝ち抜いて日本一に上り詰めたが、シーズンは強力な「山賊打線」を擁する西武の勢いに屈して連覇を許している。

 苦い敗戦を糧に、工藤監督もリーダーとして成長している。周囲からは「以前に比べて雰囲気が変わった。コーチの意見にじっくり耳を傾けて、任せるようになった」と評価する声が多い。勝つために、チームの将来のために、多角的な角度で判断し、時には非情な決断をすることも。ソフトバンクの黄金時代を支えた内川聖一を今季は一度も一軍に昇格しなかった。その手腕は数字にも表れている。監督通算715試合で425勝274敗16分、勝率.608。500勝以上マークした監督を対象にしたデータだが、歴代トップの勝率は南海を11度の優勝に導いた鶴岡一人氏が残した.609、2位は巨人でV9の黄金時代を築いた川上哲治氏で.591。工藤監督は川上氏の勝率を上回る驚異的な数字だ。

昨年、3度目の巨人監督に就任し、リーグ連覇を飾った原監督


 原監督が初の監督に就任したのは18年前の02年。「ジャイアンツ愛」をキャッチフレーズに、河原純一を抑えに抜擢し、清水隆行を一番で起用など大胆な采配で就任1年目にリーグ優勝に導いた。日本シリーズでも西武に無傷の4連勝で日本一に。2年目の03年は3位終わり辞任したが、06年に2度目の監督に就任すると、07〜09年、12〜14年とリーグ3連覇を2度も達成する。坂本勇人を高卒2年目から遊撃手のレギュラーで我慢強く起用し、実績がなかった山口鉄也越智大祐を救援陣の核に据えるなど育成の手腕も高い。原監督のすごみは主力も特別扱いしないことだ。実力至上主義を貫き、不調の主力には犠打を命じ、打順降格も躊躇しない。チームが前に進むために妥協しない姿が名将たるゆえんだろう。

 3度目の監督に就任した昨年、今年とリーグ連覇を飾っている。特に今季の優勝は大きな価値がある。決して他球団を圧倒する戦力ではなく、先発陣で計算できるのはエース・菅野智之のみ。打線も坂本勇人、丸佳浩がシーズン中盤までなかなか状態が上向かなかった。だが、ベンチで控える選手を含めた総力戦で勝つ用兵術は際立っている。増田大輝が勝負どころの代走として素質を開花させ、楽天からトレードで獲得した高梨雄平ウィーラーも輝きを取り戻す。「原監督でなければ今年の巨人は優勝できなかっただろう」と球界のOBたちがうなる手腕で首位を独走した。

 工藤監督は巨人に在籍していた現役時代に、原監督の下でプレーしている。日本シリーズで指揮官としての対決は昨年から8連勝と圧倒しているが、原監督もこのままでは終わらないだろう。来年の日本シリーズで3年連続の対戦が実現するか――。

写真=BBM
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