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松坂大輔、田中将大に前田健太…強力な大黒柱が抜けた次シーズンはどうなった?

 

 今季、開幕投手から13連勝という大記録を打ち立て、チームのリーグ優勝に大きく貢献した巨人菅野智之に、MLB移籍の可能性が報じられている。まだ去就は明らかになっていないものの、先発の大黒柱である菅野が抜けることは、巨人にとって大きな痛手となるだろう。同じように「先発の大黒柱の移籍」は過去に何度も起こっているが、戦力ダウンは免れなかったのだろうか? 「強力な投手の大黒柱が抜けた次シーズンの成績」を調べてみた。

エースの穴を埋められるケースが多い


 現在のチーム体制となった2005年以降で、「チームのエース」が他チームに移籍した場合の「チーム成績」「投手成績」を調べてみた。


●ケース1 2007年・西武
(松坂大輔がMLBに移籍)

2006年 リーグ:2位
・チーム防御率:3.64(リーグ3位)
・自責点:494(リーグ3位)

2007年 リーグ:5位
・チーム防御率:3.82(リーグ5位)
・自責点:538(リーグ5位)

 2006年オフにチームのエースで、この年17勝と勝ち頭だった松坂大輔がポスティングでMLBに移籍。エースが抜けた西武は涌井秀章が17勝10敗と飛躍し、岸孝之も11勝したものの、チームは5位に低迷。チーム防御率、自責点も前年より悪化した。


●ケース2 2007年・阪神
(井川慶がMLBに移籍)

2006年 リーグ:2位
・チーム防御率:3.13(リーグ2位)
・自責点:453(リーグ1位タイ)

2007年 リーグ:3位
・チーム防御率:3.56(リーグ1位)
・自責点:509(リーグ1位)

 エース・井川慶擁する阪神投手陣は、2006年はチーム防御率リーグ2位、自責点はリーグ最少タイと好調だった。そのエースが抜けた2007年は、2ケタ勝利した先発は下柳剛のみ。数字自体は前年と比べて悪くなったが、リリーフ陣の踏ん張りもあって防御率、自責点のどちらもリーグ1位と奮起した。


●ケース3 2012年・日本ハム
(ダルビッシュ有がMLBに移籍)

2011年 リーグ:2位 
・チーム防御率:2.68(リーグ2位)
・自責点:379(リーグ2位)

2012年 リーグ:1位 
・チーム防御率:2.89(リーグ2位)
・自責点:411(リーグ2位)

 2011年のダルビッシュは18勝6敗、防御率1.44と圧倒的だったが、そのオフにMLBに移籍。翌2012年は、前年14勝のボビー・ケッペルが不調に陥るも、吉川光夫が14勝、武田勝も10勝と活躍し、ダルビッシュが抜けた穴を見事に埋めた。ブライアン・ウルフの踏ん張りも大きかっただろう。


●ケース4 2014年・楽天
(田中将大がMLBに移籍)

2013年 リーグ:1位 
・チーム防御率:3.51(リーグ2位)
・自責点:500(リーグ2位)

2014年 リーグ:6位 
・チーム防御率:3.97(リーグ5位)
・自責点:561(リーグ5位)

 2013年にレギュラーシーズン無敗という圧巻の成績を収め、チームの日本一に貢献した田中将大だが、そのオフにヤンキースへと移籍。同年に15勝を挙げた則本昂大は翌2014年も14勝と奮起したが、田中の抜けた穴はあまりにも大きく、投手陣全体が低迷。打ち込まれる試合も増え、チームも最下位に終わってしまった。


●ケース5 2016年・広島
(前田健太がMLBに移籍)

2015年 リーグ:4位
・チーム防御率:2.92(リーグ2位)
・自責点:417(リーグ2位)

2016年 リーグ:1位 
・チーム防御率:3.20(リーグ1位)
・自責点:457(リーグ1位)

 2015年オフに大黒柱だった前田健太がMLBに移籍。翌2016年は、クリス・ジョンソン野村祐輔の活躍もあって防御率、自責点ともにリーグトップとなり、チームも優勝を果たした。特に野村は同じ右のエースだった前田の穴を完璧に埋めたといっていいだろう。

西武・菊池雄星


●ケース6 2019年・西武
(菊池雄星がMLBに移籍)

2018年 リーグ:1位 
・チーム防御率:4.24(リーグ6位)
・自責点:602(リーグ6位)

2019年 リーグ:1位 
・チーム防御率:4.35(リーグ6位)
・自責点:620(リーグ6位)

 2018年の西武は、圧倒的な打力で投手力のなさをカバーしてリーグ優勝。そんな中でも、菊池は14勝と上々の活躍を見せていた。その菊池がいなくなった2019年は、前年と同じく防御率、自責点ともにリーグ最下位。その数字もさらに悪化した。それでもリーグ優勝を果たせたのは破壊力抜群の打線があったからにほかならない。

 2005年以降の6つのケースで見てみたが、明らかに投手力が低下したのは2007年の西武と2014年の楽天のみ。残りは新戦力の台頭などもあり、エース移籍の穴を見事に埋めている。今季の巨人先発陣で、戦力として計算できたのは菅野以外に戸郷翔征のみと厳しい状況。しかし、過去の例を見ると大黒柱が抜けたしてもうまくカバーできる可能性は十分にある。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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